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第224号 「ケーブル、関電、KDDI、USEN、そしてピカパー!トリプルプレーの激戦地関西」
[2005.02.28号]
1月26日、沼津のT-comに取材に取材に出掛けた。千葉の検見川浜から、東京に出て、そのまま東海道線で沼津まで列車が通っていると思ったら、熱海で乗り換えなければならなかった。新幹線を利用すると、三島乗り換えになる。早めに出発したので、東京駅から、東海道をのんびりと下っても約束の時間には十分間に合いそうなので、鈍行の旅にすることにした。まあたまには、のんびりと列車の旅もよかろうと思ったのだ。しかし、乗った列車は本当にのんびりとしていた。昔は、東海道線にも急行が走っていたのだが、いつの間にかなくなってしまっている。 おそらくもう随分昔になくなってしまったのだろう。列車は、横浜、戸塚、大船、藤沢、茅ヶ崎、平塚と、東海道線沿いのケーブルのある駅に順番に止っていく。何度か取材に訪れているから懐かしい。大磯を過ぎるあたりから、視界が開ける。このあたりに来ると、ケーブルはなくなる。小田原では、小田急のロマンスカーが懐かしい。ここから箱根湯元に行って、温泉にはいると、とても気持ちがいい。アジサイの頃の箱根登山鉄道がまたすばらしい。そんな記憶が蘇る。
真鶴や湯河原は、やっぱり文学的な情緒が漂う。時代の波で客足が減っているともいわれるが、マージャンや囲碁などを好む年配のグループの方を対象に、手頃な料金で2~3日泊まれる商品を提供して人気の旅館があると聞いたことがある。5~6人で来て、マージャンの合間合間に湯を楽しむご婦人方のグループもあるとか。商品開発はやはり知恵か。
ようやく、熱海についた。ホームの反対側の列車に乗り換えだ。静岡行きの列車である。長距離の鈍行はもうなくなって、1時間くらいの短い路線を往復するようになっているのだろうか。原稿を書きながら、2年ほど前の、時刻表をひっくり返してみると、そうではなかった。浜松行きや豊橋行きも走っている。浜松までは、2時間半。豊橋までは、3時間だ。やっぱり直通の急行は通っていない。
直通で走っている列車を探すと、東京駅を夕方18時過ぎに出発する寝台特急の「さくら」(長崎行)、そして19時発下関行きの「あさかぜ」になってしまう。21時10分に出る「出雲」も寝台特急だ。「出雲」は、「出雲」と聞いただけで、無性に情緒を感じてしまう。その後は、23時発大阪行きの寝台急行「銀河」だ。銀河には何度かお世話になったことがある。
スタッフのWさんの娘さんが熊本の大学に行っていて、休みで戻ってくる際に、よく青春18キップを使うという話を聞く。そして、列車の乗り継ぎ時間が長いので困るということも聞いていた。たしかに、時刻表を見ると、車窓の風景を眺めながら、のんびりと長距離列車の旅を楽しむ、という風情のある列車はもうあまりないのかもしれない。
昨年の10月末に、米子から東京に戻る際に、京都に抜けて、京都から新幹線に乗ろうと思い、駅員にルートを尋ねると、「直通の列車もなく、特急も走っていないので、料金は安いけど時間はとてもかかる」といわれて、断念したことがある。しかたなく、中国山脈を特急「やくも」で越えて、岡山から新幹線に乗ったことがある。
のんびりと車窓の風景を眺めながら、ビールのプルトップをプシュッ、なんてことを望むとすると、青森県の弘前から東能代までを海岸線に沿って、グルリと1周する五能線くらいになってしまうのかもしれない。ここは1周5時間掛るから乗り出がある。列車の中にダルマストーブがあって、ほっぺたの赤い子供たちが元気に乗り込んでくる。
そういえば、今日で、「あさかぜ」も「さくら」も半世紀近い歴史に幕を閉じる。
東京―下関間のブルートレイン「あさかぜ」の最終列車の寝台券は、28日午前、全国のみどりの窓口などで一斉に売り出されたが、下りは約30秒、上りは約1分30秒で、上下合わせて722席が売り切れたという。同時に廃止される「さくら」も約1分で上り下りともに売り切れたそうだ。
暦が替わって、3月1日午前1時。この時間、上り下りの「あさかぜ」や「さくら」は大阪あたりを走っている。車内は、寝静まっているのだろうか。それとも往時を懐かしむ人たちの話に花が咲いているのだろうか。
寝ている人には気を遣いながら、それぞれの思い出を胸に、ビールのプシュッ、ワンカップのカパッという音が聞こえてきそうだ。(い)
【目次】
◆1.トーカイ・ブロードバンド・コミュニケーションズ(T-com)の ケーブルテレビ業界初のIP網を利用したVODサービス
◇エネルギー事業とコミュニケーション事業を中心に事業展開するTO KAIグループの子会社で、静岡県・関東圏でケーブルテレビ事業を 展開するMSOである㈱トーカイ・ブロードバンド・コミュニケーシ ョンズが、2004年12月より、IP方式のVODサービスを開始した。
◆2.関電グループのケイ・オプティコム、K-CATのトリプルプレ ーサービス
◇2004年9月より、eoHFのサービス料金を大幅値下げした。NTT回線 不要の新電話サービス「eo光電話」もサービス開始。さらにケーブ ルテレビ事業者K-CATがeoT.V.サービスを提供。
◆3.光パーフェクTV!(ピカパー!)が大阪で販売開始
◆4.㈱愛媛シーエーティヴィがi-HITSサービス利用決定
――㈱四国中央テレビとの共同HE化も視野に入れたデジタル放送サービス展開へ
◆5.(社)日本CATV技術協会新理事長に中川康彦氏が就任
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