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第239号 「2010年3000万光アクセスに向け歩武を進めるNTT」
[2005.11.13号]
10 月28 日(金)夜、前日の佐賀県ケーブルテレビ協議会の講演を終えて東京に戻り、帰宅すると、マンションの1階の掲示板に眼が止まった。「10 月24 日から11 月9 日まで、NTT 東日本のB フレッツの工事をします」という案内だ。前号で、「近くのマンションが光化するのに筆者のマンションはどうも時代に取り残されそうだ」と嘆いたばかりだったので、小躍りした。「やってくれるじゃないマンションの組合の理事会も。そうかそうか、ちゃんと考えていたんだ」と安心した。分譲のマンションの一部屋を大家さんから賃貸しているから、組合の会合には参加したことはない。住んでいるから出る権利はあるのかも知れないが…。組合の会合に出ていれば、どのような経緯でNTT 東日本に決まったのか、他社との競合見積りは取ったのか、など詳しいことが分かったのだろうが、惜しいことをした。そういえば、9 月6 日のKDDI の取材の時、光プラスの担当のA さんが、「自分の住んでいるマンションを光化しようと思ったら、まず組合の理事になるのが一番の早道。知り合いにもそうしてマンションの光化を行なった人がいる」と話していた。そうなんだろうな、住んでいる人で、光化の恩恵を受けたい人が、まず先頭を切って議題を提出して、みんなを説得していくのが、一番いい方法なのだろうな。「まずニーズありき」だ。
10 月31 日、夕方からの打ち合わせに出掛けようと、1階に降りると、ちょうどNTT の下請け工事会社の2 名が工事を終えて片付けをしていた。傍らにはネクタイをキリリとしめたNTT 東日本―千葉の人とおぼしき人がいた。おもむろに近寄り、「今、NTT コミュニケーションズのOCN に入っているのですが、光になると…」と問い掛けると、「詳しいことは20日に説明会がありますから」とさらりと逃げた(ように思われた)。それでもしつこく、「地上デジタル放送とかも、これで見られるようになるのですか?」と追い討ちを掛けると、「将来的にはそうなります…」と不安げに答えた。<営業の研修に出て来たQ&A 訓練の質問がそのまま自分にぶつけられた>という感じだ。名刺を交換して、急ぎ駅に向かった。
11 月1 日、2 日とつくばでNTT アクセスサービスシステム研究所主催の「つくばフォーラム2005」が開催された。1 日は、NTT 東日本の高島元副社長、NTT 西日本の大竹伸一常務取締役が基調講演を行なった。別件があり、この日は参加できなかったが、う~ん、これも惜しいことをした。翌日の午前中は、朝早く出掛けて、午前中の講演を聞いた。「ブロードバンド・ユビキタスサービス発展に向けた光アクセスの動向」「2010 年3000 万光アクセスの実現に向けた光アクセス網技術の動向」「光+無線によるブロードバンド展開に向けたワイヤレスアクセスシステム技術の動向」とテーマはいずれも技術が中心で、細かいところは理解しようもないが、「光アクセス技術がほぼ完成の域に達している」ことは素人にもわかった。折り曲げても、折れない光ファイバーも完成した。利用者宅に入らないで遠隔で調整ができるシステムもできあがった。これは、NTT千葉の知り合いから、いつも聞いていたので、そのすごさが分かった。つまり、光になると、収容局、途中の回線、マンション内の回線、利用者の端末などチェック項目がやたらと増える。しかも、利用者宅にお邪魔して工事となるとやたら効率が悪い。たいへんだ、たいへんだといいながらいつもビールを口に運んでいた。それが改善される。仕事の効率はあがる。
会場には、NTT の展示の他(IPでの地上デジタル放送の伝送技術もHDを家庭内で無線で飛ばす技術もできていた)、工事関係者など現場の機材の出展もあり、NTT の通信を支える部隊が上から下まで、全部集合した感じだ。いわば、2010年3000万光アクセスの実現を目指すNTTグループならびに関連事業者の総決起大会のようなものだ。
少しイヤな感じもした。力が一ヶ所に集中すると、とかく個人の意思とは違うパワーが生まれ、思わぬ方向に突き進むからだ。いってしまえば、NTT にあらずば人にあらず、というような雰囲気がなきにしもあらずだ。ひとり一人は、そんなことは考えていなくても、漂うのだ。そんな感じが。ケーブル事業者が昔からおそれていた「アリと像の競争」はこれなのかもしれない、と思った。2010 年3000 万光アクセスのスローガンのもと、目をつぶることも出て来るのかもしれない。小さなことは消されていく。なにしろ、政府が、世界最先端のIT 国家を目指すのであるから、その目的にも合致している。今でさえ世界最先端の光の国ニッポンであるが、競争も促進されるだろうから、どうもぶっちぎりの光国家になりそうだ。
で、光は入ったが、利用が促進されるかというと、どうなんだろう。インフラはあってもサービスの利用が促進されるかどうか。「それは、サービスアプリケーションの問題」で片付けられるのだろうが、最終的にはユーザーには利用料が問題だ。経営者には、利益の回収が問題だ。前線では、末端のテレビ屋(ケーブルテレビ)が通信サービスをどのように売っていくのか、末端の通信屋(NTTの関連会社、大手通信会社の代理店、電力系通信会社の代理店等)がテレビを売り切れるのか、といった戦いとなるだろう。しかし、2011 年アナログ停波もマスト。もしかすると、デジタルTVを売るのが一番頭の痛いところかもしれない。これに「録画問題」が入り込むと、利用者の理解を得る説明はさらに難しい。(い)
【目次】
◆1.<特別インタビュー>ブロードバンド時代のオンライン・ビデオレンタルサービス
3年で100 万加入を目指す、ゲオ・ビービーの「GEO@チャンネル」
◆2.ゲオ・ビービーとエネルギアコムが業務提携
ホーム・エンターテイメント・チャンネル「MEGA EGG 光テレビ」新登場!
◆3.シンクレイヤ、健康管理ネットワークシステムを新発売
◆4.スターキャット、インターネットサービスMediaCat で
「ここだよ、みつけて!」「連絡だよ、回答集合!TM」サービス開始
◆5.ジュピターテレコムとウィルコム、モバイル事業で提携
◆6.今治シーエーティーブィ㈱、JC-HITS 利用でデジタルサービス開始!
◆7.宇宙通信、スーパーバード7号機を調達
◆8.オンデマンドTVに美空ひばりが登場
◆9.第18 回「ケーブルマン・オブ・ザ・イヤー2005」受賞者決定
◆10.地上光伝送ネットワークを通じ、デジタルハイビジョンチャンネルを独占配信
12 月14 日よりJ:COM TV で「FOXlife HD」、「Discovery HD」スタート
【cbaニュース第239号特別付録】
<2005年第二四半期Ofcomデジタルテレビ報告書>
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