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第251号 「BB契約数3,080万、FTTH464万(05年12月末)」
[2006.04.12号]
天気予報では、午後から雨になり、強い風をともなった激しい雨になるだろう、ということであったが、千葉の検見川浜では、雨は降ってはいるものの、そう激しい雨ではない。夕べ、居酒屋でご一緒したカレー屋さんのご主人Tさんは、お昼に千葉県庁の前の歩道にワゴンを広げ、毎日カレー弁当を売っている。3年ほど前、千葉県フイルムコミッションの立ち上げの仕事に携わっているときに、打ち合わせで県庁を訪ね、彼を発見、「お昼のお弁当、ここで売っているんですか~」と声を掛けたことがある。前から顔見知りではあったが、それ以来、顔を合わすと、「どうですか、景気の方は?」と声を掛け、しばしいろいろな話題に花を咲かすようになった。彼は、ミュージシャンで、毎月1回、仲間とライブコンサートに出演している。プロのミュージシャンの夢はかなわなかったが、夢は忘れずに、若い頃から、ずっとギターを弾き続けてきたのだ。「もう57になる」と時の移ろいを嘆いた。
もうひとり、もうすぐ還暦だという元パロマの営業マンの人がいた。2年ほど前、「これ以上いても給料も上がらないし」と58になるのを区切りに会社をやめた。名古屋出身のYさんは、地元のパロマに就職。販路拡大のため、北海道に乗り込み、各地を車で回って、営業ルートを開拓した、という話をその時伺った。
「若いからできたんだろうなあ」と、当時を懐かしむように話したYさんの表情を覚えている。30年以上、勤めてきた会社を去る男独特の表情だったかも知れない。瞼の裏には、どんな風景が浮かんでいたのであろうか。「ススキノでもよく飲んだよ」といっていた。しばらくぶらぶらしていたが、今は、不動産会社の支社長付きの運転手をしている。
あとから、もうひとり加わった。卸の酒屋さんに勤めている30代半ばの青年Iさんだ。午後から夕暮れ時に、お店にお酒を配達してまわる。30代半ばを青年というかどうかわからないが、Iさんは、青年の匂いを残している。まだ独身である。早く身を固めろ、と皆に言われる。
Yさんが、Iさんに聞く。「今は、何が売れてるの?」「やっぱり、ビールですね。それから、焼酎。年配の方が多い店は、ウィスキーとかも出ますよ。それも、角とか、ダルマとか」
Tさんが加わる。「若い時って、角なんて夢みたいだったよね。いつもレッドだったもん。あれ、辛くてさ。酔うためにだけ飲んでいるって感じだったなあ。たまにお金があっても白どまり。白を手にすると、何かこう高級な感じがしたよね。」(T) 「オレも金がないときは、トリスもよくやったなあ。グビグビと」(Y) 「ハハハ、私もやりましたよ」(T) 「ワインはどうなのよ、ワインは?」(Y) 「ワインは、ダメですね。動きませんよ。それと、動かないのはブランデー」(I) 「へ~。ワインなんてけっこう売れそうな気がするけどね」(Y) 「そうでもないですよ。ホテルの結婚式とか、そういうときは出ますけど、普段、普通のお店では出ませんね」(I)
「昔、ススキノでよく飲んだなあ。ワインが高くてなあ。でも、お客さんもいるし、ちょっと見栄張って、ワイン頼むのよ。会社のお金だったしね。そういえば、あの頃、青江美奈がキャバレーに来てね。えらく色っぽい女だなあ、って思ったよ」(Y)
「青江美奈は知らないけど、オレがキャバレーでバックバンドやっている時に、けっこう芸能人が来ましたよ。でも、一番きれいだだったのは、アンルイスですね。若いし、もう、オードリーヘップバーンが来たのか、と思うくらい、きれいだった。彼女以上にきれいな女ってみたことないですよ。千葉の栄町によくきたなって思いましたもん」
「へ~、そうなんだ。うらやましいなあ~」(Y)
しばらく、話が途切れ、筆者がTさんに聞く。「コンサートの前ってどれくらい練習するんですか?」
「月2回くらいかな。リハーサルの時は、音合わせだけ。今ね、千葉に、バイオリンとピアノの天才がいるんだよ。知ってる?知らないだろ。二人とも高校生になったくらいなんだけど、ピアニストの方は、お父さんがカレー好きでウチの店にもよく来てくれるんだけどね。実は、その二人に共通点があるんですよ。これが驚いちゃうんだ。わかる?」
「もったいつけないで、教えてくださいよ」
「あのね、二人とも、スポーツをやってるんだよ。それが、バイオリニストの方が、空手。しかも2段。信じられないでしょ。ピアニストの方が…」「サッカー?」
「そう。サッカーなんだよね。しかも、ゴールキーパー。二人とも指を使う演奏しているのに、空手とサッカーのゴールキーパー。普通信じられないよね。我々の時代では、考えられなかった。そのオヤジがいうんだよ。ウチの息子は、カッコイイって。なぜかっていうと、昼間、サッカーの試合をして、泥だらけのままで、コンサート会場に駆けつけて、そこでシャワーを浴びて、タキシードに着替えて、演奏する。これはね、親が見ていてもカッコイイんだよって」
「確かに、カッコイイですね」
「それがね。そのオヤジがまた面白いんだよ。けっこう国粋主義のところがあって、息子にいうんだ。いいか、ニューヨークにいったら、絶対、こういうんだぞ。
『ノーモア、ヒロシマ』って」
はたしてその結末は?(い)
【目次】
◆1. 巻頭言 「ケーブル業界の固定電話は、JFK」
◆2. <ケーブルテレビ(株)代表取締役社長・石村光正氏に聞く>
「やがてくる光の時代に対応しFTTH化を推進―3年で全事業エリアの光化を目指す」
■ 最大の変化はIP ■ インターネットの利益が次の投資に
■ 地上デジタル放送を勧めにくいお年寄り
■ ケーブルもFTTHで光化を推進 ■ 光のIP電話も視野に
◆3. 埼玉県のJ:COM2 社が合併し、「ジェイコムさいたま」誕生
◆4. 中部ケーブル、岐阜県美濃加茂市への営業区域拡大
◆5. 横浜テレビ局の開港150周年記念番組、横浜観光プロモーションフォーラム認定
◆6. SOZO工房、ジャパンケーブルキャスト㈱の株式取得
◆7. クアルコムのBREWRソリューションでKDDIが日本のモバイルコンテンツ市場で地位を強化
◆8. NTT東日本エリアで「Bフレッツ」が年間100万契約増加―平成17年度販売結果
◆9. 西日本エリアで光ブロードバンドサービス「フレッツ光」が150万回線を突破
◆10. 無印良品とTSUTAYA、共通ポイントサービス導入
―4月19日より、神奈川県で先行プロモーション
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