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第266号 「モバイルで「どこでも動画」が当たり前になる」

[2006.11.17号]

 ある夜。たまに行く居酒屋。いつもの席。後のテーブル席には、若い女性二人が座っていた。
「私、怒る人ってだめなんですヨ~」が耳を引っ張った。
後を振り返らずに、ビールを飲みながら耳をそばだてた。
「エ~どういうこと?」ともうひとりの女性が訊く。
「私に問題があるんだと思うんですが、あれやこれや、怒られるとイヤになっちゃって。別れちゃいました」
「ヘ~そうなんだ。じゃあ、今は、つきあっている人、いないの?」
どうも年上らしい女性は、突っ込む。
「いるんですけど~」
「今の人は怒らないの?」
「ずっと年上だから」
「いくつなの?」
「35」
「じゃあ、○○ちゃんより10くらい上なんだ~」というところで、思わず、振り返る衝動を抑えられなかった。どうみても、大学生の先輩、後輩が話していると思っていたら、そうではないらしい。二人とも社会人で、若くみえる方の女性も25はいっている。振り向いて顔をみたが、どうみても二十歳そこそこだ。
<幼い顔をしているけれども、あれで25はいっているのか>と、壁に掛っているメニューを見るふりをして、けっこうまじまじとみてしまった。そこらへんの女子高生の方が、失礼な話かも知れないが、大人っぽい。まあ、女性どうしの話でウソもいわないだろうから、若く見えても25はいっているのだろう。その間も話は続いている。

「同じ職場の人?」
「ハイ」
「ケッコンは考えないの?」年上女性は、さらに突っ込む。
「考えないこともないですけど、今は、口に出さないです。彼って、離婚したばかりで、私が彼だったら、すぐにケッコンを考えないと思うから、そういう話はしないです。それに、彼でいいのかな?ってのもあるし…」
「そうなんだ~。それはそうかもしれないね~。でもね。30前になると、けっこう真剣になってくるよ。このままでいいのかなって」
「へ~そうなんですか~?」と若い方は軽い。

 この間、酒井順子の「負け犬の遠吠え」を読んでしまっていたから、30前になった女性の言葉がやたら重く響く。<やっぱりそうなんだ>とズシンとくる。
「年下の人とつきあったことはないの?」先輩女性はさらに突っ込む。
「そんなこともないですけど。それはそれでいいんですけど、年上の人と付き合うのとちょっと違うじゃないですか~。やっぱりオネエさんだから、甘えられちゃうし。それもいいんですけど、でもやっぱり、普段はオトコを見せて欲しいなと思うんですヨ。甘えられてばかりというのはどうも…」

<自分ばかり話してないで、ここらへんで、先輩女性の恋路も訊いてやれヨ!~>と思うが、若い女性は、まだ自分のことを話し続ける。
「ワタシって、自分から好きにならないと、ダメなんですよ。『スキ』って告白されても、どうも。それでつきあったというのは一度もないですね~」
「それはそうよね。でも自分が好きでもネェ~」と先輩はビールを口に運んだようだった。
若い女性は、まだ話を続ける。2本目のビールが空いたところで席を立った。

 しばらく電車に揺られて、いつもの居酒屋。若い頃から、工事現場で働いて、娘二人を育て上げたNさんがいた。アニキは東大を出てどこか有名会社でエライさんをやっていた。姉さんも頭が良くて、どこか有名女子大を出て、いいとこに嫁に行っている。次男坊のNさんは、「オレだけ、カスやってんだよナ~」と初めて会った時に言っていた。

「オ~、珍しいじゃないか。生きていたんか?~」
「なに言ってんですか。Nさんが珍しいんじゃないですか~」というと、
「そうかそうか、オレの方が珍しいのか~」とやけに素直だ。60を過ぎてどうもかなり丸くなった。
Nさんの隣に座った。
「今、どこに行ってるんですか?」
「所沢の山の中。明日も、6時半に東十条に集合で、そこから車で所沢の山の中にいくんだヨ。まわりにはなにもないから、昼飯もコンビニで用意していかなきゃいけない。民家が2、3軒みえるだけだからなあ」
「エ~、何を造っているんですか?」
「老人ホーム。民間の老人ホームだな」
夏あたりまで、都内の高層マンションの現場に行っていたから、だいぶ環境が変わった。
「イザワくんなんて最近霜柱なんて踏んだことないだろ~? 所沢の山奥だから、もうすごいんだゾ~。5、6センチはあるからな~。それをザクザクって踏んでいくと、気持ちいいゾ~」
「すごく寒そうですネ~」
「寒い。寒い。ここら辺から比べたら3度は違うだろう。もう手が動かんからな~」

 Nさんは、昨年春、一戸建ての住まいを買った。庭があって少し野菜を作るんだと楽しみにしていた。その話を尋ねると、今年の春、「売った」という。今は、マンション住まい。温かくていいという。一戸建ては、寒くて寒くてたまらなかったのだそうだ。
「体を十分に伸ばして入れる風呂を作ったのはいいいんだが、風呂に入っているときは温かくて気持ちがいいんだが、もう脱衣所に出て体を拭こうというころには、寒くて寒くて、ストーブをたかなきゃたまらない。夏は、夏で、野菜もいいんだが、蚊がすごくてたまらない。2階建てだから、その上り下りも、この歳になると応える。若い頃は、なんでもなかったんだがな~」

 最近は、仕事場でもそう思うことが多いという。朝早くから、現場に入り、10時、12時、3時の休憩には、下に降りてきてお茶を飲んだり、タバコを吸ったりする。20階以下の建物は、工事作業員用のエレベーターはないそうで、一日の内に何回も上り下りする。もちろん、それだけではない。本職の仕事では、重い工具をガンベルトのようにつけて(記憶があいまいだが10キロ近くあると言っていたと思う)、それで鉄筋を担いで、2階、3階と、上り下りする。
「ひざが痛くて痛くてたまらんのヨ~。風呂に入って、『ひざさん、ひざさん、毎日ありがとうございます』と言いながら、もむと少し痛みがやわらぐんだよナ~」
とてもではないが、私には1日も勤まらない。1日どころか1時間、いや30分ももたないだろう。Nさんの話は続く。
「イザワくんは、仕事の誇りというのをどういうところに感じるのかしらんが、オレは、あの高い建物をみると、ああ、あれはオレたちが造ったんだって思うんだよな~」
「Nさんの職場は、若い人が足りないっていうことはないんですか?」
「いるいる。いっぱいいる。この間、若い連中が、今夜、合コンがあるっていうんで、『そういうところにはどういうかっこうしていくんだ?』と聞いたらさ、こう、鳶のズボンがあるだろ、作業着姿でいくんだってよ。『それで、オマエらもてんのか~?』って聞いたら、こういうんだよ。『オンナだって、いろいろいる。いいとこのサラリーマンを好きだというオンナばかりではない。こういう高いところに登ってビルを造るっていう仕事に興味を持ってくれるオンナだってけっこういる。かっこいいって言ってくれるオンナも多いんですよ』だってさ。うちのかあちゃんもそうだったんだろうなあ」
<エッ。これってもしかしてNさんのノロケ>と思い振り返った。
しかし、Nさんの何かを懐かしむような顔を見て、ちゃちゃをいれるのはやめた。(い)


【目次】

◆1.ジュピターテレコム 2006年12月期 第3四半期 決算説明会抄録
◆2. 覆面放談「これからのオンデマンド環境はどう変わる?」(2)
   ■ テレビポータルサービスは流行るか?
   ■ テレビ番組、全録時代がやって来る
   ■ テレビはもともとネットの世界とは相性が悪い
   ■ ケータイはネットの進歩についていける
◆3. JSAT、スカイパーフェクト・コミュニケーションズの経営統合について
◆4. デジタル放送上にIPネットワークを構築する技術「IP over デジタル放送」の開発
◆5. CinemaNow Japan、日本初!ダウンロード販売とBurn to DVD サービスを投入!
◆6. 「Amebaモバイル」が動画共有・SNS機能搭載―モバイルでのブログ利用を促進
◆7. サイバーエージェントと東北新社がネット向け動画制作で事業提携
◆8. 2006年、ブログ界を盛り上げた著名人を選ぶ「BLOG OF THE YEAR 2006」開催
◆9. 第19回「ケーブルマン・オブ・ザ・イヤー2006」受賞者決定

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