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第297号 「加入者の囲い込みに新しい収益源の開発競争の花吹雪」

[2008.03.31号]

 2月28日、昔の知り合いから、メールが届いた。10年以上会っていないので、インターネットに筆者の名前を入力して検索し、ヒットしたので、メールを送ってきたという。

 90年代後半、日本にいる時には、Web開発の会社を経営していた。(その昔、衛星の顧客管理の会社も入居していたことのある)恵比寿の川沿いの洒落たテナントビルの一室で、パソコンに向かって10人ほどの若手が働いており、大手のクライアントを数社抱えていたのを覚えている。
 その後、彼から、「会社を売ることにしました」という話を電話だったか、メールだったかで、聞いた。<会社を売っちゃって、どうするんだろう>と思ったが、彼は、筆者などには想像もつかない世界に夢をはせていた。そのうち、アメリカに渡ったらしいという話が聞こえてきた。

 メールには、「1999年にシリコンバレーに会社を設立してからもう9年近くになります。この会社も$50Mで日本の○○○○に売却したので、そろそろまた新しいことを始めようと思っています。来週は日本に戻る予定がありますので、もしお時間があれば」とあった。
 もちろん、会うことにした。「了解。日本に着いたら連絡ください」と返事を書いた。

 〈$50M〉は、50億円である。5万世帯の町にケーブルテレビ施設が誕生する金額である。会社の売買などというのは、遠くの話と思っていたが、身近にそういう人がいるんだ、と思うと、シリコンバレーのITビジネスの実際をあれやこれや聞いてみたいという思いがわいてきた。

 5日の夜に電話があり、6日の夕方、東京駅の丸ビルの1階で待ち合わせをした。
 エスカレーターで4階まで上がり、カフェバーの東京駅を見下ろす窓際に腰を落ち着けた。テーブルの上に、無造作に彼が置いたのは、ケータイとiPod。IPodは、すっかり、体の一部になっているような雰囲気だ。
 生ビールを頼んで、彼の渡米後に起こった共通の知り合いたちの変遷を短く話しているうちに、生ビールが届いて乾杯。

 彼らが売却した会社は、ルーターのソフトウェアを作っている会社で、シスコが大きなシェアを持つ中で、世界で善戦してきたという。会社を売却したのは、2年ほど前で、売却後、2年ほどを掛けて、技術移転を行なってきた。
 売ってしまえば、「ハイ、それまでよ」という感じなのかと思っていたが、ソフトウェアの世界なので、人を含めて、キッチリと技術移転を行なうのだそうである。それが完了したので、新しいことに対するチャレンジ精神がムクムクと頭をもたげてきたのである。

 その後、彼は、これからやろうとしている新しいビジネスに関して堰を切ったように話し始めた。彼のその調子はあいかわらずだ。
 こちらは、ヘ~とか、エ~とか、合いの手を入れながら、彼の中にあるものをできるだけ多く聞き出そうとする。

 彼が、何をやりたいのかは、いろいろ差し障りがあるだろうから、公表するわけにはいかないが、やはりシリコンバレーでビジネスをしているだけに、もともとのマーケットの発想のベースが世界にある。

 南国宮崎県宮崎市出身の彼に、「宮崎の燦々と輝く太陽の下、幼少の頃から、世界でのビジネスを考えていたの?」と思わず聞いたが、「そんなことはないですよ。いろいろやっていく中で、シリコンバレーにも行ってみようか、みたいな感じでしたね」という。

 そうはいっても、簡単にシリコンバレーで成功できるわけではない。持って生まれた運もあろうが、いろいろな人との出会いを大切にしてきたのだろうと思う。もちろんハードな仕事をこなすことは当然だが。

 今回帰国して、彼が3日間に会った人の名前を聞いても、<なるほどね~、ビジネスというのはそういう風にして、仕組みが作られていくわけね>と思わせられた。

 日本では、グーグルの成功話が注目され、酒の席でも無難な話題だが、シリコンバレーには、「ヤツラにできたのだったら、オレにもできる」というヤツラがいっぱいいるのだそうである。

 彼もそのヤツラのひとりなのだろう。規模の大小は別にして、新しいビジネスを立ち上げようという気概は負けてはいない。

 何杯目かのビールを飲みほすと、彼の次の約束の時間が迫っていた。彼は、少し遅れるという連絡のため、ケータイを持って、店の外に出た。その隙に、勘定を済ませた。

 もちろん彼は支払をするつもりでいたのだが、何となく、払いたくなってしまったのだ。
 <う~ん。こういう感じで、投資も集めるのかもしれないな>と、いま書きながら思った。金額の大小に関係なく、出すか出さないか、だからだ。
 彼には、「アメリカに行ったら、おごってくれ」といって店を出た。

 3月20日、NHKの放送記念日特集の番組をHDD内蔵のSTBで録画しておいて、その夜、タイムシフト視聴をした。
 アメリカで2004年に開始されたソーシャルニュースサイトである「digg」、同じく2004年に、アメリカの大学生のSNSとしてスタートし、2006年9月以降、一般にも開放され、現在8000万人のユーザーがおり、今回の大統領の予備選挙にも大きな影響力を持ったといわれる「Facebook」など、コンピューターが生まれ育った国の違いをとことん見せ付けられた。
 へこんだ気分をはらすように、アサヒ極旨を流し込み、ふとんに入って、ケータイから『ベッキーのデジ川柳』に投稿して、眠りについた。(い)

<digg> http://digg.com/   http://ja.wikipedia.org/wiki/Digg
<Facebook>http://www.facebook.com/   http://ja.wikipedia.org/wiki/Facebook


【目次】

◆1.第63回 CRIフォーラム講演抄録
    ケーブルテレビの視聴率調査と「視聴率ビジネス」を考える!!
    ―STBを使った「視聴率調査システム」の概要と運用について―

           オーエスエスブロードネット(株)営業統括部長・山本康二氏

    ■ 視聴率監視は、様々な監視のワン・オブ・ゼム
    ■ 高速ポーリングでSTBから情報収集が可能に
    ■ 豊橋技科大学と産学連携で関連分析
    ■ 視聴率以外のデータを販売する
    ■ 「独居高齢者見守り」サービス

    ■ コミチャンの視聴評価
    ■ 番組アーカイブとコンテンツ流通
    ■ 今後の取り組み―録画再生視聴のデータをどう取るか
    ■ 視聴情報データは経営資源
    ■ 日本ネットワークサービスが実験を実施

◆2.伊東テレビクラブ、七尾市、輪島市が、JC-HITSサービスを利用開始
◆3.ジャパンケーブルネット、北ケーブルの株式取得
◆4.いちかわケーブルネットワーク、KDDIとの提携で固定電話サービス開始

◆5.町田市ケーブルテレビ協議会設立。市制50 周年記念広報番組も放送
◆6.アットネット、「キャッチ地域データ放送サービス」へコンテンツサービスの提供を開始
◆7.BN、省スペース型ケーブルテレビ用統合センター装置「BN8200C シリーズ」を開発
◆8.CS放送キッズステーション・京セラ・全国私立保育園連盟、
    3者共同による「食育」推進 プロジェクト 「おやこでクッキング」2008年始動  

◆9.IPTVの国際標準化活動への対応の強化について
    ~ 情報通信審議会にIPTV特別委員会を設置~
◆10.2013年、世界のIPTV加入者は9000万へ

◆11.都道府県等への子どもの携帯電話等におけるフィルタリングの普及促進のための啓発活動の依頼
◆12.総務省、「ふるさとケータイ事業」の展開に向けた提案募集
◆13.株式会社クーレボの電気通信役務利用放送の業務に係る登録

◆14.携帯電話向け有料コンテンツ配信サービス「スカパー! ケータイてれび」の開始
◆15.アクトビラで「e2 by スカパー!」公式サイトの開設
◆16.「スカパー!光」のNTT 西日本名古屋エリアで戸建サービスエリア拡大

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