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第322号 「テレビ、インターネット、携帯電話の融合時代の到来」
[2009.04.27号]
京葉線の検見川浜の駅前に、デイリーヤマザキがある。駅下のスーパーマーケット一直鮮ができるまでは、よく夜中にビールを買って帰っていた。もう10年も前の話だろうか。そのうち、落ちなかったauの支払いだったり、税金の支払いができるようになって、昼間もちょくちょく利用するようになった。
お店の親父さんは、近くの千葉銀に両替に行くのが日課のひとつである。銀行内だったり、その道すがらだったり、会うと会釈をするようになった。そのうち、デイリーヤマザキに銀行のATMが、コピー機やFAXの脇に設置されると、検見川浜には三菱東京UFJの店舗がないので、通う回数はますます増えることになった。駅下のスーパーが11時まで開いているので、デイリーヤマザキ自身で品物を買うことは減ったが、振込みや入金チェックなどでは、ちょくちょく顔を出している。
ある朝、コピー機の前で困っているおばさんに、親切な若者が、「ここに揃えて、このボタンを押すと……」と説明していた。おばさんは、「あ~ら、本当だ」と声を出した。左隣でATMを操作しようとしていた私の振り返った視線に気がついたおばさんは、「こんなもの使ったことないから、わからなくて……。ネェ~」といって、急いで出て行った。〈最後の「ネェ~」は、何だったのだろう〉と思いながらも、いくら残金があるのかの方が気になって、忘れていた。
その何日か後に市役所から封筒が届いた。定額給付金の申請用紙であった。開いて見ると、給付金の振込先銀行と本人または世帯主の口座を証明するものをコピーして貼り、返送することになっている。それで、忘れていたおばさんの姿が浮かび上がってきた。おばさんは、給付金の振込先の銀行口座を証明するために通帳のコピーを取りにデイリーヤマザキに足を運んだのである。おそらく、コピーを取るのにはどこに行ったらいいのか、ご近所のみなさんに聞きまくって「駅前のデイリーヤマザキにある」という情報を掴んでのことだろう。
それから、駅前のデイリーヤマザキでは、ちょくちょく60過ぎのおばさんやおじさんがコピー機の前で、悪戦苦闘している姿を見るようになった。もちろん、それより若い世代にも定額給付金の案内は届いているので、コピーを取る必要はあり、コンビニに駆け込んでいるのであろうが、「悪戦苦闘」という様子はみえない。主婦でも、まだ、会社時代の感覚が残っていてコピー機に抵抗を覚えないのか、あるいは、旦那に頼んで、会社で取ってきてもらっているということもあるかもしれない。パートに出ている主婦などは、主任さんにお願いして、コピー機を回しているかもしれない。主任さんも、1人頭1カウント5~8円くらいだったら、まあ、お国の政策でもあるし、目くじらをたてることもないかもしれない。自分も取っているかもしれないし。
それにしても、このコピー機というシステムは、優れた課金システムである、とあらためて思う。ボタンを押すとそのまま、お金が口座から引き落とされるわけではない。1ヶ月の使用料が、まとまって契約した口座から引き落とされる。ここは通常のクレジットカードと同じである。
しかし、違うのは、課金の単位である。「1枚あたり、いくら」(正確には、ドラムが1回転するといくら)という契約が基本で、その料金は、その会社の毎月のコピーの使用量によって違ってくる。その単価は、ある意味、それほど目くじらをたてるほどの金額ではないかもしれない。一人ひとりの使用量では、そう思える。オフィスのそれぞれが、「自分はそれほど使っていない」とそう思い込んでいる節もある。
今の時代、コピー機のない事務所というものはほとんどないであろう。そして、今の時代、事務処理などをパソコンで行い、パソコンと連動して、プリンターとしても使っているのはきわめて一般的なオフィスの姿である。しかも、毎日毎日、そうしたワークが世界の多くの国々で繰り広げられる。コピー機あるいはプリンターの機能としてのコピー機は、絶対にオフィスから捨て去ることはできない。(だろう。何らかの、技術革新がそれを実現するかもしれない)
そして、会社全体の運営をつかさどる総務部や経理部のような管理部門が、その総額に驚き、コピー機の使用にあたっての管理を強化したり、コピー機会社と料金の見直し交渉を行ったりということが、日常のように繰り返されている。コピー料金は、チリツモ(塵も積もれば山となる)なのである。
当初、携帯電話も課金システムとして、小さな金額だがそれがどんどん積もって大きな金額になる、ということがあったが、今は料金体系が整備されて、ある意味、リーズナブルな価格に落ち着いているといえるだろう。
年度末年度初めのこの時期のコピー料金の請求書を見るのは、非常にドキドキするのと、あらためて、優れた課金システムである、と感心するのである。
そう思うと、ケーブルネットワーク千葉の多チャンネル+HDD内臓STB+VOD(たまに見ている)で、7000円弱というのは、まあ、いいのかなと思えてくる。しかし、このご時勢、まだ、ケーブルプラス電話、インターネットのトリプルサービスには乗り換えていないが、まとめていくらになるのか、検討して見る必要もありそうだ。
23日夜に会った人は、今は、「ひかりTV」の方が安いといっていた。ただ、セ・リーグの試合は、球団側の意向で視聴できないので、野球好きの人には、ちょっと勧められないとも。こちらもトリプルプレイサービスでいくらなのか、調べてみる必要がありそうだ。景気の先行きが見えてこない状況の中で、身近な娯楽として、こんなことを考えている人たちが、増えているのかもしれない。
家庭向けの情報・娯楽サービスは、「1万円でいくらおつりがくるか」の時代から、「7000~8000円でどれだけ楽しめるか」の競争の時代に入ったようだ。(い)
【目次】
◆1.巻頭言 「東京一極集中が顕著な民放の広告収入」
◆2.東京ケーブルネットワークと日本通信、ふるさとケータイ事業などを活用し
地域WiMAX環境における共同研究・実験で合意
◆3.CNCI(コミュニティネットワークセンター)、KDDIとの提携によりVODサービス開始
◆4.暮らしにつながる体験・相談スペース 「iTSCOM スポット 武蔵小杉」 4 月 10 オープン!
~ イッツコムのサービスを「知る・試す・解決する」 ~
◆5.電子チラシサイト「Shufoo!」とケーブルテレビのJ:COM」
チラシ/店舗連動型テレビ番組『得だね!シュフー!』をスタート
~地域に密着したお得な情報の提供で来店を促進~
◆6.VODサービス「J:COM オン デマンド」をリニューアル
デザインを一新 検索機能を強化し、より使いやすく
◆7.地域で、家族で、身近でできるエコ活動「J:COMグリーンカーテン2009」をスタート
~みんなで育てよう、グリーンカーテン 地域参加型の環境活動を推進~
◆8.J:COM オン デマンド、SCIFIチャンネルのオリジナル最新ドラマを放送翌日から無料配信
~「見逃し視聴」サービスを拡充 ~
◆9.キャッチネットワーク、コミュニティコンテンツの充実を図り、ハイビジョン中継車を導入
◆10.「ひかりTV」チューナー機能に対応したパソコンが新たに登場!
~東芝Qosmioシリーズおよびdynabookシリーズが対応~
◆11.ソフトバンクグループのCOMEL(コメル)とヤフーがデジタルサイネージとインターネットを
連携させた共同実験を開始
~クロスメディア化に向けて、まずは「福岡街メディア」で開始~
◆12.デザインとアートで新たな村づくりへ ~地域文化創生事業調印式
女子美術大学・長野県高山村・須高ケーブルテレビ株式会社の産学官連携事業
◆13.ケーブルテレビ技術セミナー「米国ケーブルテレビ最前線」
-米国ケーブル業界にみる新サービスへの取り組み-
◆14.NHK研修センター恒例の「何がナンでも加入促進」
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