cbaニュース
第335号 「地上デジタル放送の完全移行2010年が勝負の年」
[2009.12.11号]
10月31日土曜日。検見川浜の駅を朝7時台の電車に乗り、東京駅から新幹線で、岡山経由で米子に向かった。
JR伯備線(倉敷―伯耆大山間)は、岡山県側の倉敷駅-新見(にいみ)駅間は高梁川(たかはしがわ)に沿って走り、鳥取県側の生山(しょうやま)駅-伯耆大山(ほうきだいせん)駅間は日野川に沿って走っている。
新幹線を降り、小用を済ませて、在来線へ抜ける改札を急ぎ、JR特急やくも11号に乗ると、列車はすぐに走り出した。乗り継ぎはいいのだが、駅そばを食べたり、弁当を買い込んだり、おいしそうな土産を物色する時間的な余裕はない。旅に出るとやせるのは、小腹が空いた時に何かを腹にかきこむ、という日常的な行動がなくなるからだろう。米子に着けば、駅そばがあるから、それを食べようと、我慢することにした。
岡山の山の中を川沿いに走り登り、そして鳥取の山の中を川沿いに走り降りる。山が深くなるに連れて、山の色が少しずつ色濃くなっていく。寒い冬の訪れを告げるようである。沿線の中山間地的な地形の高梁市、新見市にもケーブルテレビが整備されている。鳥取県西部地域は、概ね、中海テレビ放送のエリアである。
かなり山が深くなったところで、車掌のアナウンスが流れた。
「岡山県と鳥取県の県境の谷田(たんだ)トンネルに入る」というのである。「標高520メートルの谷田峠(たんだとうげ)は、分水嶺となっており、これまで列車の向かう方向と反対に流れていた川が、トンネルを抜けると列車の向かう方向に流れるようになる」ということであった。帰りには、アナウンスがなかったから、この車掌さんの「サービス」なのだろう。
駅のホームで大山そばをかきこみ、駅前のホテルα1米子に向かった。今年の4月28日に、駅前横の別なホテルに泊まったら、テレビがデジタル化されていなかった。夜中に帰って、テレビをつけたとき時、リモコンを持った右手がEPG(番組表)を探しているのに気が付いて、視聴習慣とはすごいものだな、と思ったことがある。今度のホテルはどうであろうかと、思っていた。フロントのこぎれいなオネエさんから、カギを受け取り、部屋に入ると、薄型テレビが備えられていた。よかった。
もうすでに陽は西に傾き始めていた。窓から差し込む西日が少しずつ弱くなるのを感じながら、BSでJリーグの試合を見ているうちに、1時間半ほど寝入ってしまった。
目が覚めると、あたりはすっかり日が暮れていた。さあ、いよいよ活動開始である。
米子コンベンションセンターのレストランで中海テレビ放送開局20周年のパーティーが始まる。何年か前、市民メディアの集まりだったろうか、ここでパーティーをやった時に、きれいだな、と思った女性が、その夜も、明るくフロアーを仕切っていた。余裕を持った笑顔で、てきぱきと他のスタッフに指示をして黒子に徹している姿は、やはりパーティーを柱のように支え、会場全体の雰囲気をそこはかとなく盛り上げる。
すでに三々五々始まっていたパーティーは、中海テレビ放送の秦野一憲社長の挨拶、ひろしまケーブルテレビの横田徹社長の乾杯で、正式にスタート。
公開スタジオでは、10月30日夜8時から始まった50時間の公開生放送が、続いている。その番組に参加する大学の先生や有識者のみなさんも、パーティーに参加して、少しずつ盛り上がりを見せている。
かなりビールやワインが空き、ワイングラスが落ちて割れたあたりで、パーティー会場に、ケーブルテレビ業界の有名人、釣りビジョンのYさんの「ガンバレ節」が流れ、そして秦野社長の締めで、パーティーは、お開きとなった。
しかし、夜はこれからである。アイコンタクトで、Aさんと、飲むことになった。ホテル方向に歩きながら、「大吉」という焼鳥屋さんの赤い暖簾をくぐった。適当に焼き鳥を頼んで、筆者は、ビール、お酒と進むが、Aさんは今日はピッチが遅い。というか、ノンアルコールに替わった。常日頃、飲む機会が多いから、たまには肝臓を休めなければ、ということもあるのだろう。1時間ほどで、店を出て、Aさんと分かれた。しかし、まだ10時過ぎである。いささか、寝るには早すぎる。ホテルの周辺をぐるっと回ってみると、ホテルと同じブロックに「喜八」という居酒屋があった。
〈(今日の終の飲み屋は)ここか〉と思って、ガラス戸を開けると、5、6人ほどで一杯になるカウンターだけの店であった。60前の主人らしき女性がカウンターの中に、50ちょっと前のお手伝いらしき女性が、カウンターの中と外を行き来している。しかし、雰囲気は悪くない。冷酒を頼むと、並々とついでくれた。
こういう店に入ると、いつも「何の目的でこの地に来たか」「どういう経緯でこの店を選んだか」を酒に口をつけたあたりで話すことにしている。つまり、「中海テレビ放送の20周年に取材に来たジャーナリストであること」「パーティーの後、一軒行ったが飲み足りないので、飲み屋を探し、雰囲気がいいので今日はこの店で飲ませてもらおうと思って、暖簾をくぐった」という風に。そうすると、まず向こうが安心してくれる。そして、いろいろ会話が弾む。
おでんを頼むと、「ごめんね。今日は、早い時間にだいぶでちゃって、ほとんど残っていないのよ」とママ。それでも、残り物のおでんをいくつかもらって、メニュー札を見ていると、「赤天(あかてん)」があった。島根県浜田市の名産、「浜田の赤天」である。
赤天を頼むと、ここでギアチェンジになった。「あんた、浜田の赤天を知ってるの?」とママ。2杯目を頼みながら、「知らんでか」と筆者。「酒のつまみにはもってこい」というと、「同じ赤天でもうちの赤天は、私が自分で買いに行って選んでくるから、他所の赤天とは違う」と出してくれた。赤天は、魚肉のすり身に赤唐辛子を練りこんだものだ。これをちょっと炙って食べると、こよなく美味しい。思わず、3杯目を頼んでしまった。そうすると、「あんたんとこ、お芋は食べる?」とママが尋ねる。「食べますよ」と答えると、ママは、お手伝いの女性に、「あんた、すまんけど、車にお芋があるから、少し持ってきてくれん」といった。しばらくして女性は、スーパーの袋を手に戻ってきた。「あんた、これ、お土産。形は悪いけど、味はいいから。ごはんの上に、小さく切って入れて、いっしょに炊くと、芋ごはんができる。やってみい」といって、さつま芋をくれた。
感謝の表現に、女性二人を両脇に抱え、たまたま入ってきた別のお客さんに写真を撮ってもらった。その夜、ぐっすりと眠った。芋ご飯は、本当に美味しかった。(い) *赤天買えます。 http://www.oideya.jp/category/akaten.htm
【目次】
◆1.中海テレビ放送が開局20周年を迎える
―「20年後の地域創造」をテーマに50時間の記念番組を生放送
◆2.「デジタル放送推進のための行動計画(第10次)」に「ケーブルテレビのデジアナ変換の
暫定的導入」明記
◆3.豊田市のケーブルテレビ局「ひまわりネットワーク」が愛知県内初となる地域WiMAXを
使用して「三好町長選挙開票速報」を生中継
◆4.ブルーレイHit Potサービス開始記念にYCVフェスタを開催!
◆5.「高画質で見る」、「長時間ためる」、「ブルーレイで持つ」
ブルーレイディスクドライブ/HDD 内蔵セットトップボックスの取り扱い開始
~ 美しさを備えた、ハイエンドクラスSTB ~
◆6.『第64回毎日映画コンクール』表彰式をイッツコムとYOUテレビで放送
~ケーブルテレビ独占! 約82 万世帯に生放送~
◆7. iTSCOM マスコットキャラクター人気投票開始~約650 作品の頂点は!?
◆8.光ハイブリッド・フォーラム、テレビCMを加盟各局に提供
◆9.デジタルコミュニティチャンネル(ケーブルテレビ自主放送)用「OMNEON MediaDeck
サーバーシステム」を導入
~洛西ケーブルビジョン(京都府)に12月から~
◆10.テクノロジーネットワークス社員が勤務中、遊具にはさまれて動けなくなっていた小学生
男子を救出。調布市から「市政功労者」で表彰される
◆11.ビック東海が、エルシーブイ株式会社及び株式会社倉敷ケーブルテレビの株式取得
(子会社化)
◆12.LCV、KCT子会社化で、ビック東海が組織変更及び役員の分掌変更
◆13.第22回「ケーブルマン・オブ・ザ・イヤー2009」受賞者決定
――記念講演会・贈呈式――
次号へ | cbaニュース一覧 | 前号へ |