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第392号 「ケーブルテレビのデータ放送で「使うテレビ」が普及」

[2012.03.31号]

 3月15日、BAエクゼクティブサロンという勉強会で、Cardinal Consulting Internationalマネージング・ディレクターの黒田豊さんの『米国のインターネット・ビデオ視聴』に関する話を聞いた。黒田さんは、アメリカ西海岸・シリコンバレーからマルチメディアの最新トレンドをレポートする『シリコンバレー通信』を出されていて、たいへん著名な方である。http://www.smn.co.jp/JPN/features/mr/
 黒田さんによると、米国では、インターネット・ビデオ視聴は「日常化の段階に入った」ということだ。ケーブルテレビや、衛星、IPTV、地上波のテレビ放送をテレビ受信機で視聴するということは、6年ほど前までは当たり前の光景であった。それがいまや、テレビ端末以外に、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの機器で様々なコンテンツを視聴できるようになっている。

 インターネット上には、テレビ局サイト、アグリゲーターサイト(Hulu等)、ケーブルテレビ/衛星/IPTVサイト、有料サービスサイト(Netflix等)、SNSサイトなどがあり、視聴者は、あらゆる形でテレビ番組等を視聴できるようになっているという。米国のこうした変化は、たいへん大きな変革であるにもかかわらず、日本ではさほど大きなことと捉えられていないのではないか、と指摘された。それは、あたかも、日本に90年代後半にインターネットが上陸した時、企業ユースくらいで終わるのだろう程度の認識しかしていなかったが、その実、大きな社会変革をもたらした、と同じくらいに大きなことである、と。
「日本では、ビデオ配信といえばYouTubeとの認識が、いまだに強いが、米国では、YouTubeの利用は、ビデオ・プロモーション程度で、有力なビジネス・ソースとは、まだあまり考えられていない」というお話も、たしかに我が身を振り返っても、「ビデオ配信=YouTube」と刷り込まれてしまっていると気付かされる。「米国では、プロが製作した優良コンテンツのインターネットによる視聴がビジネスベースで展開されている」という。その覇権争いが日夜進展しているということだ。

 2月9日に、SSKセミナーで『米国ビデオ配信業界の4スクリーン連動戦略と新規事業への果敢な挑戦』というテーマで講演されたMarknakatani&Associates, LLCの中谷雅之社長(米国在住)も、「昔からことわざがあるんですけれど、『きちっとした配信網ができればコンテンツは必ず流れる』んですよ」といっていた。米国でもブロードバンド が普及し、視聴者が、これまでのテレビ受信機だけでなく、TPOに応じて、さまざまな端末で、テレビ番組等を視聴する習慣が拡大してきている。そうした視聴者の視聴スタイルの変化に対応したビデオサービスの提供が求められ、その囲い込み競争が展開されている。
 一方の、コンテンツホルダー側は、どのプラットフォームにどのように流すのが利益の最大化を図れるか、というところで、知恵を絞ることになる。
 中谷さんは、「米国の大学の寮の各部屋には、テレビ端子がない。だからどうしてもパソコンでテレビを見るようになる」といっていた。一昔前だったら、ブロードバンド 環境が、ビデオ番組を流すには十分ではなかったろうが、技術の進展により、パソコンで映像が見られるようになった。そうした世代が、どんどん社会に巣立っていくから、「パソコンでテレビ番組を見るのに抵抗がない」世代が増えていくのは当然である。
 これは、日本でも同じようなことがいえるかもしれない。
 秋に、岡山理科大学の大学院で集中講義をしているが、彼女らや彼らのメディアの接触スタイルについては、いろいろ話を聞くことにしている。自宅から通っているか、下宿しているかによっても大きく変わってくるが、ある島根県出身の女性は、高校までは、けっこうテレビは見ていたが、こちらにきて、バイトなんかしていると、流行の番組を見落としていて、まわりの話についていけなくて、YouTubeを見ることもある、といっていた。韓国や中国からの留学生は、テレビも見ないわけではないが、パソコン視聴が日常化しているようである。

 日本では、約8,200万台のデジタルTVが普及しているが、インターネットに接続してVODなどを視聴するアクトビラ対応テレビが約3,700万台普及しているという。インターネットに接続して利用している世帯は、まだ少ないようだが、インターネット経由であろうとなんであろうと、テレビの大画面でコンテンツを視聴したいというニーズはあるはずである。
 90年代にBSチューナー内蔵テレビが、BSを見ると見ないに関わらず、家庭に普及した。2001年にイチローが大リーグに行き、BSで中継されると、視聴者は、チューナーが内蔵されていることに気付き、1万円を投資してパラボラアンテナを購入し、その結果、BS契約数が伸びたということがある。インターネット対応テレビが活かされるコンテンツやサービスもそろそろ出てきてほしいものである。(い)


【目次】

◆1.《特別インタビュー》 入間ケーブルグループの地域密着のデータ放送への取り組み
    ―4局共通コンテンツと地域独自コンテンツを組み合わせ、効率的に配信

◆2.ジェイコムさいたま、JCN関東共同制作、彩の国元気プロジェクト「埼玉徹底応援 オシどきっ!」
    放送開始

◆3.JCNが監視体制を強化
    ~CATV業界初システムの導入と新監視センターの設置~

◆4.JCN、電子チラシサイト「Shufoo!」をSTBポータルサービスに導入

◆5.須高ケーブルテレビが、ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」&「ローカリゼーションを考える」
    シンポジウム を開催

◆6.「90 年間ありがとう」STV×ZAQプロジェクト
    長野電鉄 屋代線の記録映像をインターネットで公開

◆7.フルノシステムズが、「AirSignage」(エアサイネージ)を開発。ネット不要で、
    無線LANでスマホにコンテンツ配信を実現する新感覚プラットフォームが誕生

◆8.一般財団法人電波技術協会が、エリア放送型システムの開設等に関する技術相談窓口設置

◆9.第2級CATV技術者資格 新規受講・受験の案内

◆10.NHK放送研修センター《ケーブルテレビ研修》案内

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