1. クリエイティブ・ビジネス・エージェンシーTOP > 
  2. cbaニュース > 
  3. 第394号 「スマホ、タブレットを利用した映像視聴がいよいよ本格化」

cbaニュース

第394号 「スマホ、タブレットを利用した映像視聴がいよいよ本格化」

[2012.05.15号]

 4月12日、TOKAIケーブルネットワークの設立記念パーティーがあり、サテマガBIの一瀬悦子社長と東京駅の新幹線ホームで待ち合わせをして、15時03分発ひかり477号の15号車に乗り込み、会場の静岡に向かった。
 静岡に行くのは久しぶりである。いつ頃行ったか記憶は定かでないが、何かの取材でどこかにお邪魔して、空いた時間に、登呂遺跡を見に行ったことは覚えている。どこに取材に行ったのか思い出せないから、もう15年以上前かもしれない。どこかの居酒屋に入って、一杯引っ掛けたかどうかも覚えていない。ほとんど、初めて行くのと同じである。
新幹線に乗っている時間は、ほとんど1時間くらいである。一瀬社長と、今年の秋に発行する『ケーブル年鑑』の打ち合わせをしているうちに、静岡に着いた。

 ホームに下りて、出口の階段に向かって歩いていくと、階段前で立ち止まり、ホームの看板に眼をやっている見慣れた風貌が眼に入ってきた。月刊ニューメディアの天野昭さんである。一瀬さんが、「天野さ~ん」と声を掛ける。「おおっ~」と返事が返ってくる。3人で、階段を下り、改札を出て、北口駅前の会場に向かった。歩きながら、天野さんが、「静岡には有名なおでん街があるんだけど、知ってる~?」と聞いてくる。「知らない」と筆者。「へ~、そうなんだ」と一瀬さん。その返事を聞いて天野さんが間髪を入れず、「今日、まっすぐ帰っちゃう?せっかく来たんだから、1時間くらい、寄って行こうよ」とお誘いがかかった。一瀬さんは、「え~、でも~、会社に戻らなきゃなんないんですよ」と即答する。筆者には、「イザワさん、あんたは、全国飲み歩いているんだから、静岡のおでん街を知らないというのは、いけない。ちゃんと、知っておくべきですよ~」と痛いところを突いてくる。当初、飲んで帰る予定はなかったが、《まあ、東京まで1時間くらいだし、京葉線に乗って自宅までは2時間半もあれば帰れるから、最終の新幹線に乗れば大丈夫だろう》という気持ちが沸いてくる。行きの新幹線の切符は、一瀬さんがまとめて2名分を乗車券も指定席券も買っておいてくれたのだが、帰りは、「伊澤クンが誰かと飲みに行くかもしれないから」ということで、乗車券のみを買っておいてくれた。一瀬さんの気遣いは正しく、その相手が、これからパーティーだ、というその前に、決まってしまった。あとは、一瀬さんが、参加するか、別のメンバーに声を掛けて、人数が増えるかどうかである。

 つつがなくパーティーがお開きになり、いよいよ夜の部が開演となる。仲間に引っ張りこもうと思った一瀬さんは、「イザワちゃん、ゴメン。会社戻るから、先に帰るわ」と足早に会場を後にした。何人かに、声を掛けたが、みんなまっすぐ帰るということで、結局、『おでん街』視察・飲食ツアーの参加者は、天野さんと筆者の2名ということになった。
 天野さんと、いきなり2人で飲むというのは、めったにないことである。今、思い出して、すっと出てくるのは、24年ほど前に、神戸の深夜の歓楽街で、飲んだシーンである。それはそれで、逸話があるが、また何か別の機会に譲る。
 エスカレーターで、1階に下り、ビルの玄関を出ると、天野さんは、小走りに車道に出て、タクシーをつかまえようとする。昼の部もさることながら、夜の部になると、また一段とやることが手際いい。
 何台目かの空車が気付き、止まってくれた。「乗り込むとすぐに、近くて悪いんだけど、おでん街にやってくれる。近いんだろうけど、俺たちよそもんだから、道がよくわかんなくてさ」と行き先をいうと、「おでん街ね。いくつかあるけど」と返事が返ってくる。 「あの交差点のところで、交番があるでしょ、あそこに行きたいんだよ」と天野さんが場所を指定した。
 運転手は、「とにかく近くまで行ってみますから」といって、東京方面に向かっていた車を左折させ、大きな通りに入って、江川町の交差点をまた左折、そのまままっすぐ、呉服町、紺屋町の交差点を直進。
《このあたりだったら、さっきの会場のビルを、そのまま北に向かって歩けばよかったんじゃないか》と思った。
 タクシーは、昭和町の交差点の一本手前を右折。飲み屋が並ぶ道筋で、いよいよそれらしい飲み屋街のネオンが見えてくる。天野さんは、「あれ~、この道じゃなくて、大きい道沿いなんだけどなあ」という。運転手は、そのまま車を走らせ、脇道が、大きな青葉通りに出る手前にある、あおばおでん街の前に車を止め、「ここがおでん街の一つなんですけど」という。天野さんは、「ここじゃない。俺らが行きたいのは、大きな通り沿いで、交差点の近くで、交番の裏よ」というと、運転手は、「ああ、わかりました」と青葉通りに出て左折、青葉交番前交差点を渡ったところに車を止めた。

 車から降りると、目の前に、『青葉おでん街』と緑の地色に白抜きで書かれた電飾の大看板があり、その下に、店の名前が緑字で書かれた提灯が20数個並ぶ白地の電飾看板が掲げられ、こうこうと輝いていた。
 さらに、その下に、『青葉おでん街』と赤地に黒でかかれた提灯が、おでん街の入り口、それぞれの店の入り口の両脇に掲げられ、提灯には、桜の造花が巻き付けられていた。
 まあ、『天野チックな光景』とでもいうべきであろうか。どことなく新宿2丁目の雰囲気にも通じるものがある。「カメラ、持ってたろ。記念写真を撮ってやるから」と天野さんがいい、筆者がカメラを渡すと、おでん街の入り口で、シャッターを切ってくれた。全体が入らないといって、わざわざ、道の真ん中の分離帯のところまで行って、遠景も撮ってくれた。
 だいぶ、エンジンが掛かってきたようである。戻ってきて、筆者にカメラを手渡すと、「俺がいつも行くのはね~」と両脇に10数軒並ぶおでん屋の物色を始める。どうやらもう何度も来ているようで、左の暖簾、右の暖簾と覗いてみるが、覗いたところは、みんな客が4、5人座って談笑をしている。
 おでん街の突き当たりはトイレになっていて、そこまで行くと、「俺が行ってるとこはみんな満杯だなあ。しょうがない。新しいところを開拓するか」といって、戻りながら、右側中程の店をくぐった。「おばさ~ん、二人、い~い~」と天野さんが声を掛けると、ママさんが、「おばさんじゃないも~ん」と返事をする。天野さんもすかさず、「おねえさん、おねえさん」と言い直し、ママさんもにこやかに笑った。

 お店は、たたみ6畳くらいの広さで、L字型のカウンターに、6,7人が座れる。おでん街の左右20数軒の作りは、みな同じで、いわばおでん長屋である。L字の長い方のカウンターの奧に天野さんが、どっかりと腰を下ろすと、「お飲み物、何にします?」とカウンター越しにおしぼりを手渡しながらママが尋ねる。天野さんは、「とりあえず生ビールだな」と筆者の方にも、《ビールでいいよな》と視線をくれる。軽くうなずくと、すぐにおつまみの方にテーマが移って、「残り物のおでんちょうだい。たくさん残ってんでしょ。適当に、ごそっと持ってきて」と天野節が始まった。
 壁に掛かった時計に目をやると19時20分。パーティーがお開きになってから、20分ほど経っている。《2時間ほど飲めるな》と思った。
 「おでんといっても、静岡のおでんは黒いおでんだ」と、先ほどパーティー会場に向かう途中で話を聞いていたので、《どんなものが出て来るのだろうか》と思っていたが、串に刺さった、はんぺんやらちくわやらたまごなど、いろいろなものが、10本くらい出てきた。たしかに黒ずんでいる。
 そこから天野さんの講釈が始まった。なんでも、ここのおでんはだし汁をずっと使い続けているのだそうである。他のところ(京都や東京などのお店)は、おでんの汁を毎日替えるのだが、静岡は、替えない、とのこと。ママが、途中で、「悪くならないようにいろいろ工夫もある」と口を挟む。天野さんが、「ママも何か飲みなよ」と酒を勧める。『室井滋』似のママは、うれしそうに、「じゃあ、いただきま~す」と瓶ビールの栓を抜いて、グラスにビールを注ぎ、カウンター越しに、ジョッキとグラスを合わせて、乾杯をした。

 そうこうしているうちに、ママが「入れてあげようか」といいながら、入り口の方を見ているので、入り口の方を見ると年配の男性が暖簾をたぐりあげて中をのぞきこんでいる。「どうぞ」とママが優しく声を掛けると、年配の男性は、店の中に入ってきて、L字の短い方のカウンターに座った。こちらからは、顔を右手に60度ほど振れば、その男性がよく見える。向こうからは、顔を左手に30度ほど振れば、こちらがよく見える。そういう位置関係になった。
 流ちょうな日本語を話すが、どうやら日本人ではないようだ。焼酎か何かを頼んだようだ。そのうち、台湾から旅行で来ていて、ホテルの人に、何かおいしいものを食べさせてくれるところを尋ねたところ、おでん街を紹介された、というようなことをママに話していた。口上を述べて、自己紹介し、「自分は怪しいものではない、今宵、おいしい酒を飲ませておくれ、旅の土産話になるような時を過ごさせておくれ」と、心の中で、頭を下げたのである。なかなかの御仁であることは、すぐに知れた。

 天野さんのビールがなくなり、「お酒ちょうだい。何があんの?」と声を掛ける。ママが「開運」というと、「静岡の地酒は開運だからな。じゃ、それちょうだい」という。「ひやですか、お燗しますか?」の問いには、間髪を入れず、「ひや」と答えていた。筆者のビールは、まだ少し残っていたが、ママに二度手間を掛けるのも面倒なので、いっしょにひや酒をもらった。目の前のおでんはけっこうはかがいき、天野さんは、「おでん、もう少しちょうだい」という。「ボクはそんなに食べないですよ」というと、「俺が食べるもん。さっき全然食べてないから」という。確かに、先ほどのパーティー会場では、同席したガス関係の業界紙の記者にいろいろ質問して取材をしていた。

 お酒は、もう2杯目になる。筆者も遅れて2杯目に入る。お代わりのおでんがほぼなくなりかけると、天野さんが、「ママ~、何か、珍しいものないの~?」と聞く。ママは、「いるかの筋肉食べる~?」と聞き返す。天野さんが、「あっ、いるかの○○○○だな。それそれ、それちょうだい」というと、サラミソーセージを縦に引き裂いたような珍味が出てきた。天野さんは、すぐさまそれを頬張り、「これはうまい」と声が大きくなる。
先ほどの高齢の男性が、その声に反応したようで、ママが、「食べてみますか?」と声を掛けると、「いただきます」と返ってきて、彼の前にも、珍味が出された。「これは何ですか?」と彼が聞くと、天野さんが「いるかの○○○○。珍味、珍味。美味しいですよ」と答えた。
 それが切っ掛けで、彼がいろいろ話し始めた。ちょうどお酒も回り、だいぶ店の雰囲気にも馴染んできて、話相手が欲しくなったのであろう。台北に住んでいて、79歳になるが、日本には、もう50数回来ており、今回は、富士山を見に来たのだそうだ。天野さんも台北には、年に何回か行っており、下手な台湾の人より、諸事情に詳しい。

 筆者は、そろそろ、新幹線の時間が気になり出し、ケータイに目を落とし、時刻表を検索していたものだから、何のテーマで、二人の会話が盛り上がり始めたか記憶していないが、気付いた時には、天野さんは、顔を右に60度向け、台湾の男性は、顔を左に30度向け、真ん中で、カウンターの中のママがウンウンうなずきながら、いい酒場の風景を醸し出していた。
 《片や東京辺りから来た二人連れの一風変わった客。その後から入ってきたのは、台湾の台北から来た高齢の男性旅行者。ついさっきまで、この地球上で、縁もゆかりもなかった人たちが、私の店で出会って、楽しそうにお酒を飲みながら話をしている。》とでも、いいたげな表情である。ママ冥利に尽きる、というか、至福の時なのかも知れない。
お酒は3杯目に進み、台湾男性と天野さんの話は、経済、歴史、政治などさまざまな分野にわたり、繰り広げられた。

 真ん中の筆者は、扇風機のように左右に首を振るわけにもいかないので、ちょうど筆者の正面から右10度の辺りにあるテレビを見るともなく見ていたら、「真ん中の方は、テレビをご覧になっているのに、話声が大きくて、聞こえなかったらすみません」とこちらにも気遣いをする。そういえば、さっき、「耳が遠いので、話し声が大きくなる」とママに話していた。「ちゃんとお話をうかがっていますよ」というと、安心したようだ。

 天野さんが、「台北の駅にもおでんの屋台がある」といい、「そうですか。私は知りませんでした。今度、行ってみます」という辺りで、会話も一段落し、そのうち、お勘定して下さい、という声が聞こえた。二千数百円を支払い、楽しかった旨を伝えて、店の外の世界に戻っていった。


【目次】

◆1.株式会社TOKAIケーブルネットワークが事業開始

◆2.テレビの新しい楽しみ方が始まる!『Xvie (クロスヴィ)』5月22日スタート

◆3.J:COMとプレサンスコーポレーションが新築分譲マンションに関する業務提携契約を締結

◆4.J:COM TV デジタルのラインナップを強化
   ~ 日テレプラスと朝日ニュースターをHDで提供新チャンネル「Baby TV」が登場 ~

◆5.J:COM、日本初放送の最新海外ドラマをコミュニティチャンネルで先行放送
   ~J:COM オン デマンドでは「見逃し配信」も ~

◆6.全国12館で開催されるイベント上映の開始と同時配信
   J:COM オン デマンド先行配信決定!!
   機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) episode 5 「黒いユニコーン」

◆7.25年ぶりの金環日食を親子で楽しもう!―コズミックカレッジ金環日食記念 
   太陽と月のサイエンス教室 全国3ヵ所で開催

◆8.ゆずの里ケーブルテレビで、5月からBSパススルー開始
   ~同時に防災行政無線のリアルタイム音声配信もスタート~

◆9.JCBAがインターネットサイマルラジオ配信開始

◆10.「auスマートパス」の会員数が100万を突破

◆11.ひまわりてれびとKDDI、提携により固定電話サービス開始

◆12.「WOWOWメンバーズオンデマンド」2012年7月2日(月)スタート!
    ―加入者限定 無料番組配信サービス

◆13.ACCESSとヨーズマー、業務提携 -エリア限定放送ソリューション共同開発、国内外で展開-

◆14.「スマイルサーバ ネットショップ構築オプション」の提供開始について
    ~お客様のネットビジネスのスタートを支援~

◆15.学校の評判が即座にわかる情報解析サービス「学校みはりBan」を開始
    ~学校の風評を自動的に収集・チェックし、早期対応を可能に~

◆16.東京ケーブルネットワーク、千代田区と「連携協力に関する基本協定」を締結
    ~連携を強化し、地域の身近な放送局としてよりきめ細やかな情報を区民の皆さま    へ~

◆17.メディアキャストが事務所移転

◆18.NHK放送研修センター《ケーブルテレビ研修》案内

cbaニュース一覧

有限会社
クリエイティブ・ビジネス・エージェンシー

〒261-0012
千葉県千葉市美浜区磯辺5-12-2-303


cbaニュースのご購読の申し込みは、電話かFAX、メールにてお願いいたします。 (担当:伊澤)

TOPcbaニュース視察ツアーセミナー・研究会出版物のご案内事業実績会社概要PHOTOSお知らせお問い合わせサイトマップ

Copyright (C) Creative Business Agency
PAGE TOP