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第245号 「トリプルプレー競争。1万円でお釣りがいくら来るかの時代」
[2006.02.04号]
米国産牛肉の輸入が再禁止されて2週間ばかり。いつもの居酒屋で飲んでいると、そういえば吉野家で働いている(と聞いたことのある)青年が近くにいた。みんな今時の青年なので、「今、どこで働いているの?」と尋ねる。
青年は、「かわってないですよ。吉野屋で働いてます。店はかわりましたけど」と答える。当然、「どうなの?」と様子を伺う。「2月の中旬に、キャンペーンを企画していたんですが、輸入禁止が決まった次の日に中止を決定しました。牛肉はあるんですが、このような状況の中でキャンペーンを行なっても消費者心理をさかなでするようなことになるし、お店のイメージも壊すことになるということで」という。吉野家としてみれば、いい迷惑だ。
大手通信会社のSさんが、「ウチの会社、今度、BSEの検査をすることになったんだよ。去年、それで亡くなった人がいてさ。50歳以上の希望者だけなんだけどね」。「Sさん。人間の場合は、BSEとはいわないんですよ。新型ヤコブ病というんです」と獣医のYさん。それには答えずSさんは、「あれは、人間の場合、どういう症状になるんですか」と続ける。
「やっぱり、神経がやられるんでしょうね。痺れるとか」とY先生。
Sさんは、「牛肉もダメだし、鳥もダメだし、魚だってわからない。食うもんないじゃないか。霞しか食えない」と冗談まじりにぼやく。「それで生きていければ一番いいんですがね」とY先生。青年は、「やせて死んじゃいますよ」と笑う。
「でも、Sさん。我々の人生もこの先40年も50年もあるわけではないんだから、あんまり気にしない方がいいんじゃないの。あれもダメ、これもダメ、と考えていると、かえって神経がまいっちゃいますよ」とY先生。
「でも、せっかくここまで来たんだから、年金くらいはもらいたいじゃないの」
Sさんは、昔、大病をして、生死をさまよったことがある。しかし、ビール党で、いまだにだいぶいける口である。
「しかし、年金は、本当にもらえるのかなあ。若い人は、払っていない人が多いというし、心配だよなあ。もっとうまい仕組みを作ってくれないと困るよなあ。払うだけ払って、いざもらう段になったら、すみませんこれしかありません、とか、払えません、じゃあ、泣くに泣けないよ」
確かに、その通りだ。目の前にあるお金は、自分のお金ではないから、思う存分使える。先のことは考えない。『後輩のために美田は残さず』みたいなもんだ。
そういえば、この間もこんな話があった。「100万円を銀行に預けても、1年間で1000円くらいにしかならない。銀行が、回復しているのは、通常の常識でいえば、払われるはずの年間数%の利息を預貯金者に払わないですんでいるからで、儲かるのは当たり前」というのだ。
昔、親しい銀行員もいっていた。「銀行はお金を貸してその利息をいただくわけですから、絶対、損をしないんです。通常であればね」と。お金を融資して、利息を取る。これは、当たり前にしても、銀行に預けておいても、預貯金の利息はスズメの涙。大まかにいえば、その差額は、銀行の利益になるわけだから、それは儲かるはずだわな、と納得。
別の日、別の人。「住宅ローンの利率も低く押さえられている」という。お金を借りて、住宅を買うのにはいいんだそうだ。でも、その裏側にあるのは、住宅ローンの利率を上げると、国が発行している国債の利率も上げざるを得なくなり、そうすると550兆円ある国債の発行残高の利息も莫大なものになる。国の借金を膨らませることになるから、住宅ローンの利率も低く押さえられているのだそうだ。
また別の日、別の人。「今の日本は、50万の給料しかないのに、80万の生活をしようとして、毎月30万の借金で補っているようなもの。破綻してるんだよ」 う~ん。つくづくその通り。我が身も振り返る。
年末にも、こんな話になった。シャブシャブをご馳走してくれた関西のSさん。
「あんたのことをいっているんではないで。一般的に~、の話や。借金を返すためには、出費を押さえることと、収入を上げること。このふたつを辛抱してせにゃならんのや。ところが、国は、収入を上げるというと、すぐに税金と考える。それでは、国民はたまったものではない。例えば、東京都内の公務員宿舎だって、あれを民間と同じ値段で(民間に)貸したら、相当の収入になるで。そういううまく利用すれば、税金に頼らずに、収入を上げるやり方はいっぱいある。それをやらんからワシは腹を立てとるんや」
球春が訪れ、今年は、近所のマリンスタジアムにも足を運んでみたい。好きな落語もしばらく遠ざかっている。2~3年前から、上野の鈴本演芸場にも、若い女性の姿が目立つようになったが、今や小朝の仕掛けに乗って、落語ブームだそうである。たまには、寄席で大笑いもしてみたい。
<う~ん。出費を押さえて、か。今日は、これで上がるとするか>と立ち上がると、
「あれ、もう帰るの。いやに早いじゃない。どこか具合でも悪いの」とY先生。「いや、そうじゃないんですが」
「それだったら、もういっぱいやっていきなよ。この時間に姿を消されると地震でも来るんじゃないかと思って、気持ち悪いじゃないの」とお銚子を持って誘う。なんともいえないY先生の誘惑顔。
「それじゃあ、もういっぱいだけ」と座り直す。
「そうこなくっちゃ」と、第2ラウンドに入ってしまった。<ああ~>(い)
【目次】
◆1.合併して1年。第2ステージを迎えたケーブルウエストの事業展開の現状
■ 集中か分散か、発展途上2年目の舵取り
■ 早期に50万加入達成(TV+NET)が当面の目標
■ 増えるトリプル、ダブルサービス
■ モバイル、VODは検討課題
◆2. (株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 重村一社長定例会見
――2005年度第3四半期の業績概況と今後の展開について――
■ 業績概況 ■ 今後の事業展開
◆3. ケーブルネットワークを利用した学童見守りシステムを実現
-シンクレイヤ、ケーブルモデム内蔵「ダイキャストBOX」を新発売
◆4. ケーブルウエスト、JDSの地上光伝送ネットワークでCSデジタルを受信
――降雨減衰のない安定した映像・音声を加入者に配信
◆5. (株)ふれあいチャンネルと安芸ケーブルテレビ(株)が合併契約
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