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第247号 「放送・通信・コンテンツの連携でビジネスは結実する」
[2006.03.14号]
めったに見られない珍プレーだった。「3塁からタッチアップした選手の離塁が早いと、キャッチャーからボールを送球された野手が、3塁ベースを踏んで、近くにいる塁審にアピールする」のは、通常のプレーである。そして、確かに早い場合は、近くにいる塁審が、アウトをコールする。
WBCの日米対戦で8回表、3塁にいた西岡は、左翼手がフライをキャッチするのを見て、タッチアップ。足が速いというデータが頭に入っていたのだろう、左翼手は、ボールの握りもままならぬまま、本塁に送球。ボールは、大きくそれ、西岡はゆうゆうの生還となった。そして、冒頭の通り、キャッチャーが3塁に送球。西岡の離塁が早いとアピール。そして、近くにいた塁審は、大きく左右に両手を広げ、「セーフ」をコールした。野手も、それは、日常のプレーと同様のことを一応やってみただけのこと。
今回のケースではアウトになるとは決して思っていなかったろう。もし、本当に離塁が早く、「アウトになる」と信じていたら、もっと力強くアピールしたはずだし、塁審がセーフをコールした時に、近くに詰め寄って、あるいは近くに詰め寄らないまでも、「そんなことはないだろう!」という表情をみせるだろう。それに、その瞬間、その場に監督やコーチが駆けつけ、塁審に抗議をするのが筋だろう。
今回のケースでは、球審が、マルチネス監督の抗議を受け入れ、塁審の判定を覆し、簡単にアウトのコールをしてしまった。塁審の顔は丸潰れだ。しかし、この球審が近くにいた塁審の判定を覆して行なった判定ははたして有効なのかどうか。通常は、相談くらいするだろう。
次のプレーが始まってしまえば、「有効だった」という形でゲームが成立するのが野球だが、王監督も「野球のスタートした国でこんなことがあってはならない」というほど、おそらく怒りを通り越して、あきれてしまったのだろう。イチローもマイナーリーグの審判だと、こういうことが起こるのか、と驚いたのではなかろうか。球場に足を運んだ米国のファンもびっくりしたのでは。そして、米国の選手もまさかこんなことになるとは、判定が覆るとは、思っていなかっただろう。「どうせ勝つのなら、もっとすっきりと気分良く勝ちたかった」というところではないか。しかし、世界には「こういうベースボールもある」ということなのかもしれない。
と、ここまで書いたところで、仕事を頼むことにしていた外部スタッフのYさんがやってきた。
「もしかして『明けましておめでとうございます』かしら」と、明るく挨拶した彼女との打ち合わせは簡単に終わった。そして、しばらくぶりで会った彼女は、最近ある会社からヤフーの光に乗り換えたと話し出した。マンション全体が、ヤフーの光に乗り換えたのだという。
前の会社のサービスでは、IP電話がプツプツ切れる経験をしていたこともあり、「どうしようかなあ」と思ったが、「おいおい、NTTを切ってしまって大丈夫なのかい」と心配する夫をよそめに、「プツプツ切れるようなことはないわよね」と念を押し、「大丈夫です。私が責任を持って…」という若い男性営業マンを信用した。常套句ではないか、と思うかもしれないが、彼女は元日航の国際線スチュワーデス。職業柄、人を見分ける力は、自然と備わっている。NTTの電話をやめ、IP電話で安くなった分で、彼女はBBケーブルに入ることにした。今は、多チャンネルに加えて、VODで映画も楽しんでいるという。
「やっぱり、ちょっと時間の空いた時とか、暇な時、退屈な時に、リモコンでちょこちょこって見られるのがいいのよね。多チャンネルも見るけれど、自分の好きなものがその時やっているとは限らないでしょ。主人は、ゴルフが好きなのね、この間も、スポーツチャンネルでアメリカの試合を見ていたわ。私は、テニスが好きだから、テニスの番組がもっとあればと思うんだけど。それと、息子の部屋のパソコンに無線で飛ばしてるの。線がないから、楽よ~」と話す。
<う~ん。いろいろな人に話を聞く機会があるが、主婦でこれほど詳しい女性はめったにいない。>
「でもあれね、光、光っていうけれど、『うわっ速い~』って感じでは決してないのよね」
<おっ、まだまだ少ないだろうが、一般の主婦の中にも、「光が決して驚くほど速くはない」と気が付く人が出て来た。>
「でも思うのよ。オンデマンドだって、やっぱり自分の好きなものがあるかどうかですもの。これからは、やっぱりコンテンツ勝負よね。あっ、もうこんな時間。じゃあ、これやってきまあ~す」と彼女は、明るく元気に帰っていった。
<うちも早くVODにしないと、彼女の話に追いつけないな。その前に、ワインでも持って、今度、取材に行かせてもらおう。>(い)
【目次】
◆1. 動画コンテンツのポータルサイトを目指す「Yahoo!動画」の事業展開
■2003年12月にスタートしたYahoo!動画
■より多くのブロードバンドユーザーに見てもらえる方向に方針転換
■多種多様な無料コンテンツの増加に注力 ■パソコンで動画を見る習慣の定着が課題
■Yahoo!動画はプラットフォーム ■あいかわらず根強い韓国ドラマ
■動画コンテンツサービスはYahoo!動画を強化 ■一般からの「投稿動画」コンテストがスタート
■ソフトバンクホークスのライブに根強いファン ■ADSLから光への強いプッシュはしていない
■まずはトラフィックを増やしたい ■タイムテーブルのあるチャンネル型コンテンツも増やしたい
■有料コンテンツは何本かまとめて割安感を訴求
◆2. オン・デマンド・ティービーが世界初、ハイビジョン&5.1サラウンドでVOD開始
【3月2日記者発表後の質疑応答:松本哲也取締役の回答】
◆3. 知多メディアスネットワーク㈱がコミチャンで24 時間リアルタイム緊急情報を放送
◆4. JCN傘下局のケーブルテレビで災害時における情報提供を実施
◆5. FCCがビデオ市場競争状況に関する12回年次報告書を議会に提出
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