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第256号 「RF、IP、様々なオンデマンド映像サービスが始まる」
[2006.07.04号]
いつもの居酒屋。建設現場で働くNさんは、「姉歯の事件があってから、柱がごっつう太くなった。岩盤まで、深く埋め込むようになったから、1.5メートルくらいの柱は、普通になった。びっくりするような太いのもある。この間、手伝いに行った現場は、3メートルくらいあったなあ」とポツリという。
脇に座ったベテラン溶接工のKさんは、何か専門用語で、Nさんに答えている。Nさんは、続ける。
「今、行ってる現場は、800人からの人がいるから、昼飯を食うのもひと苦労だで。専門の食堂があるんだけども、エレベーターで上から降りてくるのも時間がかかるし、飯を食うのも大変だし、また飯を食ってから、エレベーターで上に上がるのにも時間がかかる。とんでもない混雑だよ」と笑う。
(高層ビルの建設だから、日々作業する現場は高くなっていく)
「もっと問題なのは、車。みんなが車できたら、駐車場を確保するのも大変だから、3~4人で、同乗する車しか、現場には入れないんだけど、それでも800人からが分乗してきたって、200台くらいの車が、毎朝、毎晩、駐車場に出入りするんだから、たいへんだで。しかも、残業する作業もあるから、そういう作業の人たちの車は、早く帰る人の車の邪魔にならないように、奥に入れなければいけない。その整理も大変。その日の作業の段取りも、確認して整理しなきゃなんねえからなあ。でもな、イザワくんよ」と矛先がこちらに向いた。
「800人からの朝のラジオ体操は、壮観だぞう」
確かに、800人の大の男たちがいっせいにラジオ体操をする姿は壮観だろう。Nさんは、さらに続ける。
「でもな、800人で驚いてたら、いけねえんだよ。このあいだ、○○建設に勤める甥っ子がきて、ジョイントのある現場をまかされているんだけれど、その現場はプラントなもんだから、ピークの時には、3000人の作業員になるんだそうだよ。車も問題だけど、それは、まわりに空き地がいっぱいあるから、どうにかなる。しかし、3000人からを朝いっせいにラジオ体操させるのには、スペースの問題もあるから、どうしたらいいかと頭抱えていたよ」と笑う。
<そうか。プラント関係の現場になると、そんなに作業員が必要になるのか。しかし、3000人といったら、ものすごい人数だ。そうとう大きいプラントなんだろうな。でも雇用でいったら、3000人ぽっきりか。そういう仕事がたくさんあれば、一般庶民の景気も少しは変わってくるのかもしれない>
「でもなあ、昔に比べると、体が動かなくなったよなあ。なんか、このまま生きててもあんまりいいことないような気がしてきたよ」とNさん。これには、卸の酒屋に勤めるIくんが、「何をいってるんですかNさん。人生これからじゃないですかあ」と激励。
Kさんは、普段から、そんなに口数の多い人ではない。静かに飲む人だ。
「調子悪いねえ」とポツリという。ジャイアンツのことだ。Kさんは、根っからのジャイアンツファンで、会った瞬間の顔色や雰囲気で、その日のゲームの動向がわかる。あまりはっきりしているものだから、悪気なく、いつも「どうしたのジャイアンツは?」と突っ込んでしまう。でもさすがに6月の18敗目を喫した6月30日は、声を掛けるのも憚られた。
すると、Kさん自ら、「調子悪いねえ」と漏らしたのだ。毎年、一喜一憂しているが、けっこう気丈に、「ははは」と笑っている。落ち込んでしまう気持ちをわずかな望みで、支えている、そんな感じだった。それが、「11対0だって。オレの体も調子が悪くなってきた」と続ける。思わず、「まだまだ、わかんないですよ」となぐさめに入ってしまった。
でも、「今年は、もう終わった。春先に夢をみたからもういいよ」と遠くを見つめる。
話題を変えようと、Iくんに、「暑くなってきたから、けっこうビール伸びてるんじゃないの」と振った。しかし、Iくんは、「だめですよ。暑くなったって、みんな自宅にひきこもりで飲むから、お店は伸びてないんですよ。お店が伸びなきゃ、うちはあがったり。ボーナスも期待できませんよ」とこっちもけっきょく景気が悪い。
景気がいいって、思える人って、やっぱりだんだん減っているよね。(い)
【目次】
◆ 1.≪特別ロングインタビュー≫CATV愛知(株)金澤憲二さん・勝子さんに聞く
『10年先、20年先を視野においた人づくり、商品開発』
■ 新しい時代に備え、社屋を改築 ■ 加入率は、6割を突破
■ やはりテレビはテレビ ■ 地元の人に喜んでもらえる企業に
■ 24時間ビジネスの態勢づくり ■ STBへの切替を積極的に推進
■ 地域密着がケーブルの原点 ■ 地域の特徴に合わせたサービス開発を
■ 葉書コミュニケーション
◆ 2.≪金澤茂明さんインタビュー≫金澤邸の囲炉裏を囲んで
『今あることを正しいと思ってはいけない』
■ 生活スタイルにあったサービス開発 ■ 新人が知らないことはお客さんも知らない
■ 新しいものはどんどん取り入れて実験する ■ 10年先、20年先を常に考える
■ 土日休日を返上 ■ 電源の取れるHFCシステムを有効活用
◆ 3.長野県須高ケーブルテレビ株式会社の新社長に丸山 康照氏(44)が就任
◆ 4.ジャパンケーブルキャスト株式会社役員人事
◆ 5.日本初、産学連携による光ファイバを利用した講義映像コンテンツの配信に関する
実証実験を実施
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