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第404号 「テレビにネットを繋ぐ時代を迎え動き出す『アクトビラ』

[2012.11.05号]

 9月3日、初めて訪れた欧州家電ショー(「IFA2012」)。IFAは、国際大放送展の略だそうだが、今は、「IFA」が、正式名称になっている。会場は、幕張メッセが、5つ、6つあるといった感じだろうか。各棟を結ぶシャトルバスが走っているくらいだから相当大きい。
 その他に、中国・台湾の常設棟に入りきれない出展社を一堂に集めた特設のテント棟が造られていた。(それ自体が幕張メッセくらいの広さがあった)
 会場建物の入り口前には、サムソンの洗濯機をかたどった巨大なゲートが作られ、ほとんどのビジターがそのゲートをくぐっていく。筆者は、そういう仕掛けは嫌いなので、当然脇をすり抜けたが。

 きれいなコンパニオンのお姉さんに、入場証を渡すと、紐のついた透明のホルダーに丁寧に入れてくれた。それを首から掛け、早速、会場を回ることにする。しかし、相当広いので、2日間でどのように回るか、それなりの展望を持たなければいけない。まず、何を見ないかである。ここと、ここと、ここは回らない、と決めて、2日間で回れそうなコース設定をした。そのコースに沿って、まずは歩いてみることにした。

 「My Media」といわれるコーナーが最初になったが、タブレットを始めとする、電子機器やアクセサリー商品など、さまざまな目新しいものが展示してあり、早速カメラを取り出し、シャッターを切ることになった。《これは時間が掛かるな》と思った。展示されている商品の目新しさばかりでなく、展示の仕方に、非常に新鮮さを感じたからである。当たり前のことだが、《日本とは違う。アメリカとも違う。》という感覚が、自ずとシャッターを切る回数を多くした。

 ブースに立っている説明員を始め、みんなカメラを向けても、嫌がるそぶりも見せない。
 《プレスバッジを付けているからかな》とも思ったが、回りを見渡すと、みんなスマートフォンや小型カメラで、バチャバチャ撮っているから、いちいち気にしていられない、というところだろう。
 《「撮らないでくれ」といわれたのは、「My Media」のコーナーでタブレット端末などの電子機器のアクセサリーを展示している小ブースとやはり同じくアクセサリー商品を展示する大ブランドのGollaのブースだけだった。「デザイン」は、やはり秘匿に値する価値があるのだろう。

 2011年実績で、23万人が訪れたIFA。13万人が、ビジネス関係者だが、残り10万人は、ベルリン市民やドイツの他の地域から訪れる人だという。会場で偶然出会したデジタル評論家の麻倉怜士さんは、「IFAは、ベルリン市民にとってテーマパーク的な存在」という。

 もともとドイツ人は、機械ものが好きな国民性があるようで、こうしたイベントには、足を運ぶ人が多いそうなのだ。そうした一般市民が、「これは面白い」という表情で、手に取っている商品、多くの人が群がっている商品を世界各地から集まったバイヤーが買っていく傾向があるようだ。

 展示されている商品は、すでに一般のお店の店頭で売られているものがほとんどで、IFAを訪れる市民は、展示会で、いろいろな商品を見比べて、自分の気に入ったものを店頭で買ったり、クリスマスのプレゼントにしたりするという。
 したがって、会場には、高齢の男性、高齢のカップルに始まり、父と娘、父と息子、母親と子供たち、若いファミリー、若いカップルなども多い。

 学生のグループも多く、インテルのブースでは、学校の課外授業なのだろう、数人の学生が、ブースの説明員に、いろいろと質問し、細かなメモを取っていた。
小さな頃から、こういう環境に接していると、いろいろ視野が広くなり、ICTの技術にも精通してくるだろうな、と思った。日本でもいろいろイベントがあるが、子供たちや学生にも、ICT技術を理解してもらうことを目的としたイベントがもっとあってもいいのではないだろうか。
 あるいは、CEATECなんかでも、イベントの1日を高校、中学、小学校の学生に開放してもいいのではないだろうか。やがては、ユーザーになるわけだし、優秀な人材の発掘につながる可能性もある。まず、そうした機会を創り出すことは、新たな日本の可能性への道を広げる。

 「Golla」のブースを抜けると、「Acer Europe」の広々としたブースが現れた。テニスコート4面分くらいはありそうな広さなのに、中央と周辺の壁際に展示商品があるだけで、あとは、広々とした空間。そこに説明員の女性がたくさんいて(15名ほど)、自分の担当の商品を個別に説明をしようと待っている。

 奧には、2階へ続く階段があった。
 《2階にも、何かあるのかも知れない。見落としてしまったら、せっかく大枚をはたいてベルリンまで来たかいがない》ということで、階段を上り始めた。2階まで、もう数段、というところで、下から、「エキスキューズミー」という女性の声が聞こえた。

 階段は、総合受付の後ろにあったのだが、振り向くと、3人いるうちの一人が、受付から出てきて、下から声を掛けている。  《ああ、2階は商談ルームで関係者以外立ち入り禁止ということだな》と分かったが、あと数段で、2階に達する、というところまできて、引き返すのも、何なので、《ええい!》と4、5段上って、2階に上がると、テーブルを挟んで、商談している様子がさっと見えた。

 下では、さっきより大きな声で、「エキスキューズミー」と叫んでいる。2階に達し、一応目的を果たしたので、すぐに振り向いて、階段を下り始めると、女性は安心したようで、《まったくもう》というような表情で、受付ブースの所定の位置に戻っていった。
「関係者以外立ち入りご遠慮下さい」とでも書いておけばいいのに。まあ、美学に合わないんだろうな。
 もうすでに2時間ほど歩いているが、そんなに疲れは感じない。会場が広いので、たいへん多くの人が会場内にいるはずだが、肩がぶつかったりせずにゆっくり見られるので、気疲れしないからかもしれない。お昼に食べた、ホットドックはとてもおいしかった。

 IFA2012の展示会場を2日間で回ろうと予定を立て、初日は、だいたい計画通りに急ぎ足で回った。1万歩は歩いただろうと思ったが、スマホの万歩計を見ると、9,000歩ほどで、1万歩を歩くというのは、たいへんなことだと思った。

 5時半に会場全体に終了のアナウンスが流れた。日本のように、きれいどころのコンパニオンの女性がみんなして並んで、お客様のお見送り、なんて仕草はみじんもない。
 ということは、外国からCEATECなどに来たお客さんにとっては、日本の「お見送り」は、異様に映るのだろう。あるいは、「日本のもてなしの心はすごい」「もてなしの心を形に表している」というように感じているのだろうか。今度、外国の人に尋ねるチャンスがあったら聞いてみよう。

 出口に向かうと、タクシー乗り場には、すでに長蛇の列が出来ていた。かなり疲れているので、タクシーに乗りたかったが、ここで1時間待つのだったら、電車でホテルの近くの駅まで行った方が、早いだろうと、多くの来場者の帰宅の群れに続いて、駅に向かった。メッセ駅でも、長蛇の列が出来ていたが、大量輸送の電車であり、数分おきに来ることもあって、人のはけはよかった。

 はたと気がつくと、ホームに続く人の波の中に、もうひとつ違う列が出来ており、よく見ると、それが切符を買う列であった。そこで、改めて並び直したが、どうにも先に進まない。先の方を見てみると、切符の自動販売機が2台しかない。

 2台で、イベント開催時の大量の人の波を捌こうというのは、日本では考えられない、と思ったが、みんな文句をいうでもなく並んでいる。文句をいってみたところで、現状が改善されるわけでもないから、とにかく自分の順番が来るのを待っている。それと海外からの来場者も多いので、「こういうものなんだ」と思っているのかもしれない。

 海外組が多いので、自動販売機の使い方がわからない、ということもスムーズに人が流れない理由でもある。現金かクレジット払いで買えるのだが、料金は、ゾーン設定になっていて、いくつかの料金設定があるから、自分の目的地までの料金がいくらなのか、をまず考えなければいけない。そして、現金かクレジットかで購入する。

 おそらく普段の日は、無人駅なんだろうが、今日は駅員が一人張り付いて、ほぼ全ての来場者に同じ説明を繰り返している。その駅員がスーパーマリオのおじさんに似ているのが、唯一、待っている間の娯楽であった。

 みんながみんな、その思考と購買行動を繰り返すから、どんどん時間が経っていく。最初に並んだ人の波に20分。切符を買う人の列に並んですでに40分が経っていた。
 
 ようやく順番が回って来た時には、別の駅員に替わっていたから、どうやら駅員は2人はいる。そして、もう2人のところで、トラブルが発生した。釣り銭切れである。現金では買えない。駅のホームの反対側に、自販機があるからそっちに行ってくれ、といっているようである。2人は、なにかぶつぶついいながら、反対の方に向かった。
クレジットは、買えるようである。ポケットから、急いでクレジットカードを出して、試みたが、使えなかった。仕方なく、反対側の自販機に向かう。そちらにももうだいぶ列が出来ていた。

 電車は、何本も来る。6時くらいから並んで、もう1時間は経っているから、だいぶホームの人並みは捌けており、電車の中の人混みは、ささほどではない。しかし、切符が買えない。ようやく切符を買えた時には、マリオのおじさんが横についていてくれて、安心した。

 切符が買えることに、これほど喜びを感じたことはない。お宝ものを手に入れたような感じだ。2台の自販機の隣に、これも2台ある打刻機で、時間を刻印する。「これから2時間、有効」という証明になる。2時間の間は、ゾーンの中で、乗り降り自由である。改札はない。改札があって、そこに駅員がいる、という日本の常識からすると、何か、変な感じである。

 したがって、切符なしでも、乗り降りできてしまうのだが、検札に発見されると罰金は高いようである。
 切符を買う列に並んでいて、我慢が限界に来たのか、切符を買わずに、電車に乗り込む東洋系の一団もいたが。

 今から思うと、切符の列に並ばずに、ホームに大量に並んでいたメッセ駅の来場者達は、帰りの混雑を知っていて、1日乗車券を購入していたのであろうか。夜中の2時くらいまで、有効だから、3回乗れば元は取れる。来年は、そうしよう。電車に乗るのに1時間以上待つのは、1日会場を回って疲れた体にはきつい。

 翌日は、ホテルの近くの駅から地下鉄に乗って、会場に向かった。地上に出て、動物園駅に着くと、それぞれ不揃いの服だが、車掌バックを持った一団が乗り込んできて、乗客に切符を見せろ、と回り始める。1車両に、3人ほどいるから、全車両では、相当数の人数になるだろう。
 《これが、メッセベルリン日本代表部で、事前取材をした時に聞いていた、ドイツのベルリンの検札か》と思った。
 《切符を持っていなかったり、切符を持っていても打刻をしていないと、理由の如何を問わず、罰金を取られますから、打刻はきちんとして下さい》と念を押されていた。

 さっき買って、打刻をして乗ったばかりだから、筆者は、もちろん何の問題はない。前に座っていた、欧州の別の国から来たと思われる男性が、検札に引っかかった。2時間の有効時間を過ぎた切符で乗車していたのだ。
 男性に悪意はないようで、「切符を持っている」と主張した。検札官が、「有効時間が過ぎている」という。男性は、「有効時間は何時間なんだ」と聞き返す。「2時間」という返事に、男性は、打刻した時間を確認し、「わかった。じゃあ、改めて切符を買うが、どうすればいいんだ」と答える。
 しかし、検札官の対応は、強硬だった。
「今すぐ、降りろ」というと、男性をホームに連れ出した。
そして、まず罰金を払え、とでもいったのであろう、男性は、財布を取り出すと、お札を何枚か取り出していた。ドアが閉まり、電車は、何事もなかったかのように走り出した。

 日常よくある光景なのかもしれない。前の方に座っていた年配のご婦人は、カードで支払ったようで、何事かをいいながら、カードを財布にしまい込んでいた。

 2日目のIFAの会場も予定通り回った。見ておくべきところは、ほぼ全部回った。浅く広くであるが、急ぎ足で回り、かなりの写真を撮りまくった。
 さすがに、体力の限界を感じ始め、4時頃に切り上げて、タクシー乗り場に向かった。タクシー待ちの列は出来始めていたが、まだそれほどではなく、10分ほど待つと順番がやってきた。

 ベンツのタクシーに深く座り込み、まだまだ日の高いベルリンの街並みに目をやりながら、ホテルへと向かった。昼過ぎに飲んだ絞りたてのオレンジジュースの味がもうなつかしい味になっていた。(い)


【目次】

◆1.《第7回はんだ山車まつり》フォトレポート

◆2.GAGA★の人気映画がアクトビラに登場!
   アカデミー賞R作品賞受賞作品「英国王のスピーチ」や「オペラ座の怪人」など一挙配信!

◆3.「ビエラ・コネクト」を通して日米欧に配信する『世界遺産スペシャル』の再生アプリおよび配信シ ステムの開発・運用を受託

◆4.アクトビラが、CATV局向けIP-VODサービス「ケーブルアクトビラ」の提供開始

◆5.アクトビラ 配信中作品の無料動画をスマホ/タブレット上で配信開始。
   

◆6.中国電力が(株)ひろしまケーブルテレビ株式の一部  を中国新聞に譲渡

◆7.JCN横浜が防犯パトロール隊「ミテマス」を発足!
   10月12日(金)に発足式、キャンペーンイベント開催神奈川県警察、港南警察署他と連携!

◆8.JCN武蔵野三鷹10月開始新番組「スポカル!」内で地元スポーツチームの中継録画放送をスタート

◆9.大田区のケーブルテレビ JCN大田 が開局15周年を記念して600組1,200名を無料招待する演歌の祭典“おおた歌謡祭”を開催!

◆10.JCN、ケーブルインターネット回線を活用した公衆無線LANアクセスポイント構築について~KDDIおよびワイ ヤ・アンド・ワイヤレスと連携~

◆11.JCNが、2012年9月末の加入世帯等を公表

◆12.CNCI配信ケーブルテレビ19社。韓国100%エンターテイメントチャンネル「Mnet HD」の受付開始!

◆13.遠野テレビ 火災情報・緊急情報を放送開始

◆14.ターナーグループ 3 つの会社を「ターナージャパン株式会社」として1つに統合
    戦略的にコンテンツビジネスを展開する新体制へ

◆15.NHK放送研修センター《ケーブルテレビ研修》案内

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