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第349号 「iPhone、iPadが街にあふれて「どこでもTV」が普通になる」

[2010.06.24号]

(前号の続き)久しぶりの海外で、まず、乗り込んだJALの飛行機の機内の様子に驚いた。すべての席にディスプレイがついていたからだ。最後の渡航の記憶では、ファーストクラスやビジネスクラスに、個別にディスプレイが付き始めた頃で、まだエコノミー席には、自分の自由になるディスプレイはついていなかった。持て余した時間をつぶすには、天井からぶら下がったディスプレイの映画を見るか、音楽を聴くか、本を読むか、あるいはひたすら目をつぶるかしかなかった。
 しかし、今回は、すっかり様子が変わっていた。「マイテレビ」がついている。飛行機が離陸し、シートベルト着用のサインが消え、「昔は、天井にぶらさがった大きなディスプレイで、エコノミー席の全員が同じ映画を見ていたなあ」と思い、あたりを見渡すと、みんなさっそくリモコンを取り出し、リモコンの操作方法を確認している。慣れている方は、自分の好きなコンテンツにスムーズに辿りついている。不慣れな筆者は、操作方法も確認せず、まだ先は長いからと、好きな落語に聞き入っていた。(最後には、「釣りバカ日誌」を見た)
 しばらくして、トイレに立ち、そのついでにいろいろな人のディスプレイを覗き込んでみると、見事に画面のコンテンツはバラバラ。ある人は、ゲーム、ある人は音楽、ある人は、映画やドラマ、等々。同じ映画でも、シーンが違っている。あるいは、言語が違っている。見たい時に、見始めているので当たり前といえば、当たり前だ。そう。VODは、あるいは、オンデマンドのメディア接触は、もはや当たり前なのだ。飛行機の中だから、という方がいるかもしれないが、この飛行機の中の空間は、見方を変えれば、一般社会を凝縮したものと、考えることができる。
 例えば、1300万世帯の関東地方の視聴率は、家庭に置かれた600台ほどのマシンで計測されている。ジャンボジェット機の中には、おそらく500人は乗っている。ということでいえば、暇に飽かして、いろいろな人にアンケート調査を行えたら、いろいろ面白い情報が収集できるだろう。また、例えば、飛行機の座席を、日本地図と重ね合わせる。日本は、北海道を頭に、竜の形をしているとよくいわれるから、飛行機の先頭が北海道。それぞれの席の一つひとつが、日本を形作る地域と考えることができるだろう。
 
 今、飛行機の中で、VODがあるが、現実の地域で、例えば、VODサービスがない、としたら、それは飛行機の席の価値が低下するということと同じだろう。他の飛行機会社にお客が逃げることだってある。ここで、勘違いしてはいけないのは、VOD=映画やドラマ、というわけではないということだ。映画やドラマもVODコンテンツの一つである、ということだ。VODは、映像の双方向配信システムである、というのがその本質。だから、地域のコンテンツなどをVODで視聴する習慣を顧客につけていただくということが急がば回れで大事なことになる。
 世界の先進国では、3スクリーンが当たり前になり、さらにメディアの別なく、さまざまなコンテンツが自由に入手できる(TV Everywhere)というのが、当たり前になろうとしている。5月12日に行われたNCTAのゼネラルセッションでも、コムキャストのCEOが、EBIF(イービフ:Enhanced Binary Interface Format の略。高度バイナリーインターフェースフォーマット。双方向テレビを実現する規格)を使ったiPadのアプリケーションを紹介し、会場は拍手と大歓声に包まれた。
 今回のツアーでは、テレビ、PC、モバイルの3スクリーンを端末に、タイムシフト、プレイスシフト、プラットフォームシフトなどの新しい視聴スタイルが浸透し、さらにそれに3Dが加わって、さまざまなデジタルコンテンツが自由にネット上を流通する時代がきており、わが国にもその波が押し寄せてきていることを参加者全員で共有した。
 今回、米国のカリフォルニア郊外のベライゾンやサクラメントのコムキャストの現場も見学して、今後、わが国のケーブルテレビもこんな課題にチャレンジしていくことで、より多くの加入者の支持を得られるのではと、「IEEER」(アイ・トリプルイー・アール)というキーワードをまとめてみた。
 「I (インタラクティブ)」 双方向性、参加性
 「E(エンジョイアブル)」 楽しい。またテレビやケーブルサイトを見たくなる。
 「E(イージー)」     使いやすい。
 「E(エンハンスト)」   将来的なアプリケーションの拡張性がある。
 「R(リーズナブル)」   加入者の財布にやさしいサービス料金

 今後、これまでのテレビの娯楽に加えて、Webの娯楽の充実にも業界全体で取り組んだらどうだろうと期待する。「ケーブルコンテンツパーク」という全国の加入者がアクセスできるポータルがあり、そこから各地の局にも遊びに行ける。『テレビでも楽しめて、Webでも楽しめる。そして、テレビとWebをモバイルで繋ぐ。』
 力を合わせると、また見たくなる、来たくなる、そんな楽しいテレビ番組やケーブルテレビのポータルサイトができそうな気がする。(い)


【目次】

◆1.「Cable Gate」おすすめ番組情報のケーブルテレビデータ放送への提供実験を開始
    ~ テレビとモバイルの連携により、新たなサービススタイルを検証 ~

◆2.JDS、いよいよ“Cable Gate”で3スクリーン対応

◆3.ケーブルテレビ事業者向けサービスプラットフォーム
    『CATVユニバーサルポータル』を活用したサービスアプリケーションの受注推進開始。
    映像配信サービスにも対応

◆4.イッツコム、国内初『CATVユニバーサルポータル』を活用したパーソナルテレビ
    ポータルサービスの実証実験を実施

◆5.iTSCOM TV、ハイビジョン(HD)チャンネルラインナップを拡充
    ~ ハイビジョンならではの迫力あるスポーツ映像を提供 ~

◆6.イッツコム、YOUテレビが「デジアナ変換」の暫定的提供
    2011年7月までに開始を決定
    2015年3月31日までアナログ受信機継続利用の視聴者をサポート

◆7.ジュピターテレコム、住友商事、KDDIが、アライアンスの検討に関する覚書締結 

◆8.地デジ・BSパックとJ:COM オン デマンドを組み合わせた「J:COM TV My style」の
    提供をスタート

◆9.ケーブルテレビジョン島原(長崎県)からISPフルサービスを受注
    ~インターネット接続サービスの包括的運用を提供~

◆10.秋田ケーブルテレビ、データ放送を活用した健康・医療サービス実証試験を実施
    ~テレビ画面で、健康へのアドバイスが受け取れる!~

◆11.CTB メディアがJC-dataを利用したデータ放送サービス開始!
    ~日本一の温泉地ならではの地域情報をデータ放送で~

◆12.日本初!iPad・iPhone向け CATV地域コミュニティチャンネル配信実験開始
    ~東京ケーブルネットワーク、次世代ユニバーサル地域コンテンツの確立に向けて~

◆13.ブロードネットマックス、リアルタイムでワンセグサービスの放送を実現する地上デジタル
    ワンセグセンター機新発売

◆14.全国ふるさとコンテンツ配信事業
    「け~ぶるにっぽん-仕事人列伝-(12回シリーズ) 」番組制作発表会開催

◆15.シフト・セブンコンサルティングが、西日本事業所を開設

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