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第354号 あらためて祭りの持つ荘厳さ、力強さ、一体感に感激した

[2010.09.15号]

〈下界は暑いなあ〉8月27日、午後8時頃、千葉の検見川浜の駅を出てそう思った。8月26日、ある仕事の打ち合わせが、15時半から富士吉田市のCATV富士五湖の会議室を借りて行われるので、検見川浜から10時半過ぎの電車に乗り込んだ。富士吉田に行くには、新宿から、バスという手段もあるが、電車に乗るのがことさら好きなので、電車を乗り継いでいくことにした。
 その日も朝から暑かった。検見川浜からJRで東京、高尾、大月。大月から富士急行に乗り換える。計約3時間半。ペットボトル片手に鈍行の旅である。とはいっても、ローカル感が出るのは、高尾から小淵沢行きの各駅停車に乗り換えてからである。山の中をゆっくりと電車が進む。山と谷が次から次へと現れる。山梨県のケーブルテレビの普及率が80%ほどで全国一というのが納得できる。電波がまっすぐに飛べる空間が狭すぎる。
 13時過ぎ、大月から富士急行に乗り換えると、乗客はほとんどが観光客になった。中高年の日本人女性グループが多い。外国人の男女のグループも何組か乗り込んできている。
 8月26日は、吉田の火祭りが行われる日である。この火祭りが、全国のケーブルテレビ局に衛星生中継されること、また会議のメンバーが、「話には聞いたことはあるが、実際の火祭りを見たことがない」ということもあり、千載一遇のチャンスということで、この日、この場所での開催となったようである。
 富士急行は、観光地の鉄道なので、車掌が沿線の観光案内もしてくれる。リニアモーターカーの実験線を潜るというアナウンスに、話に夢中になっていた女性グループも窓の外に目をやっていた。最後までおしゃべりに夢中になっていて、ようやく他のメンバーの興味が他所に移っていることに気が付いた女性が、「エッ、何?何?」と、実験線を見逃して、みんなから「あいかわらずね」と笑われていた。
 一人の女性は、話をしている途中で急に友人の名前が出てこなくなり、「あの人よ。ほら、あなたも知っているじゃない」「○×さん?」「違う!ほら、あの人だってば。ああ、もう出てこない」といいながら、他のメンバーも「私も出てこないことが多くて……」と同調していると、別の4人掛けシートから、「次、降りるわよ」と声が掛かり、バタバタと10人以上の女性陣が都留市駅で降りていった。この辺の出身の女性陣で、同窓会でもあったのかもしれない。
 急勾配を上りきり、標高809mの富士吉田駅に降り立っても、日差しはきつかった。町では、祭りの準備が進んでいるようで、なんとなくせわしなさが感じられた。ホテルにチェックインして、CATV富士五湖に伺う。それこそ、こちらは、今夜の生中継に向けて、社員総出の準備中で、留守番部隊が、若干名、社内に残っている、という状況だった。
 CATV富士五湖には、23年ほど前、旧社屋の頃に、一度お邪魔したことがある。
 投稿ハガキに記入され、住民から寄せられた様々な手書きの情報を回転式の名刺ホルダーのような機械に挟み込み、1枚のハガキを30秒ほどカメラで撮影して、次々と回転させていく。肉声ではないが、手書きの情報が地域内の家庭のテレビ画面に映される。これが、地域内の情報流通に効果があるという話を聞き込んで取材にうかがったのである。それを「パタパタ」といった。今は、パソコンを使って、同様なサービスを提供しているそうである。

 会議は、長引きそうになったが、祭りが始まるというので、残りは翌日に回すことになった。急いで、地元の名店で、地元の食材をビール、ワイン、日本酒で流し込み、火祭りや生中継の様子を見に行くことになった。しかし、次から次と、ごちそうと、お酒が出てくるので、「このまま出来上がってしまいそうだ」という意見も出たが、CATV富士五湖の武川社長が、「大丈夫。歩いているうちに松明の熱で、酒など飛んでしまう」というので、けっこうみんな残さず食べ、残さず飲んだ。
 店を出て驚いたのは、一般家庭の玄関の前の道路でも、井桁に組まれた松明が、ボンボンと燃え盛っていることである。近くを通ると、熱風が顔を洗っていく。みんなで北口本宮冨士浅間神社と境内社である諏訪神社に松明を頼りにお参りし、本町通りを下る。そこでまた驚いた。道の真ん中で燃え盛る松明の列が、延々と続いているのである。そして、その両側に、びっしりと露店の店、店、店。日本中の露天商の1割くらいが今日、ここに集まっているのではないか、と思わせる。その松明と、露店の間を大勢の人が行き来する。
 行けども行けども、松明と露店、人の波が切れない。なかほどのコミュニティセンターに設置された「御旅所」といわれるところで、「おやま神輿」と「明神神輿」にお参りをする。その地下が、生中継のスタジオになっていた。生中継は、すでに終了し、撤収作業が進められていた。みんなで、スタッフの労をねぎらい、さらに松明の道を下った。全長2kmほどあるそうで、7時頃から2時間くらいは、松明の燃え盛る通りを歩いたことになる。酒は、本当にすっかり抜けていた。その後、軽く喉を潤し、11時過ぎにホテルに帰った。ホテルの門限は、24時だったが、小腹が減ったので、近くのラーメン屋に出掛けた。
 町には、祭りの余韻を楽しむ浴衣姿の若い男女のグループがあちこちにいた。地元出身で、この祭りに合わせて帰省したのかもしれない。消防団や関係者は、火消しと掃除を行っていた。さっきまで、道の両側に露店が立ち並び、賑わっていた気配は、もうあとかたもなく消えている。次の町に旅立ったのだろうか。
 翌日、午後2時過ぎ。市内を練り歩く神輿を待っていると、さっきまで晴れていた青空が、黒雲に覆われたと思うと、稲光が走り、雨が降り始めた。神事は、もちろんそのまま続けられる。軒下で、雨を避けながら、写真を撮っていたが、それでもかなり濡れた。濡れない方が、おかしいくらいの降りだった。そのまま電車に乗り、昨日来たルートを戻る。東京に着く頃には、シャツもズボンもすっかり乾き、京葉線で、暑い下界に舞い戻ったのであった。(い)


【目次】

◆1.日本三奇祭「吉田の火祭り」フォトレポート

◆2.山口ケーブルビジョンがJC-data データ放送サービス開始!
    防災・災害情報緊急告知、地域密着情報、その他コンテンツを盛り込んだ、総合情報提供の
    データ放送を実現

◆3.コミュニティネットワークセンター、「デジアナ変換」の導入を実施
    ~ 古いテレビを捨てないで!ケーブルテレビならアナログテレビがそのまま使えます ~

◆4.北陸・甲信越地区に地上光ネットワークを新たに構築
    9月より新たに13事業者にCSデジタル放送配信サービス開始

◆5.地上光ネットワークによるCSデジタル放送配信サービス
    新たに5事業者に配信開始

◆6.東京ケーブルネットワーク、荒川区総合震災訓練に参加
    地域WiMAXを活用した「映像音声伝達システム」による交信訓練を実施

◆7.東京ケーブルネットワーク、町会・自治会情報をデータ放送で提供開始
    文京区で先行スタート、約300団体の個別情報の提供を予定

◆8.イッツコムが運営するコミュニティFM
    「FM サルース」の番組が青葉区役所庁舎内で放送開始
    地域の耳より情報から、役立つ防災情報までお届けしています

◆9.横浜コミュニティ放送(FM サルース)
    日本災害情報学会より「廣井賞(社会的功績分野)」受賞
    ~ 「サロン・ド・防災」の取り組みが評価 ~

◆10.京阪神ケーブルビジョンと大阪南港地区のケーブルテレビ事業譲渡で合意
    大阪西地区のベイコムサービスエリアを拡大

◆11.NHK放送研修センター《ケーブルテレビ研修》

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