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第351・352合併号 「地デジ移行まで残り1年、ケーブル局のHD化が加速する」
[2010.07.22号]
海の日を明日にひかえた18日の日曜日。千葉市検見川浜の上空には、抜けた青空が広がっている。たぶん、朝早くから、ウィンドサーフィンを楽しむ人たちが大勢押しかけ、10時を回る頃からは、子供連れの海水浴客で賑わうことだろう。昨日、気象庁が、九州から関東地方にかけた広い範囲で梅雨が明けたことを発表し、全国的な梅雨明けも、もう間近なようだ。
それにしても、西日本から中部地方にかけて激しい雨が何日にもわたって降り続き、各地に被害をもたらした。被害に遭われたみなさまにお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたい。
振り返ってみれば、W杯南アフリカ大会で、日本が決勝トーナメントに進出し、1回戦でPK戦の末、パラグアイに惜敗したことも、もうずいぶん昔のことのように感じられる。
その後、W杯南アフリカ大会では、ブラジル、アルゼンチンが敗退する中で、一躍世界の人気をさらったのは、ドイツ・オーバーハウゼンの水族館シー・ライフで飼育されている占いをするマダコの「パウル君」で、W杯南アフリカ大会ではドイツ代表の7試合に決勝戦を加えた計8試合の勝敗を全て的中させた。
ウィキペディアでは、「国際的な名声を得た」と表現されている。さらに、「2010年7月12日、全ての予言を的中させた功績をたたえ、パウルにワールドカップ優勝トロフィーのレプリカが授与され、パウルは8本足で丁寧に受け取った。(中略)大会終了後、パウルの下には他のサッカー関連の事項の予言や、テレビ出演などの依頼が殺到した。しかし、タコの寿命は野生では1年から2年、飼育環境下でもおよそ3年とされており、既に2歳半と高齢のパウルは本大会後に予言活動から引退し、水族館で観客を楽しませる『本来の仕事』に戻る予定である。」とある。
2008年1月、イギリス生まれのパウル君は、もうおじいさんということになる。しかし、これだけの有名タコになると、今後もその寿命の続く限り、水族館を訪れる人たちを楽しませてくれることだろう。
W杯南アフリカ大会は、思わぬ副産物を世界の人々に提供してくれた。こうした話題を世界の多くの人々が、瞬時に情報共有できる衛星テレビやインターネットというシステムがあるということも、すばらしいことだ。
今回のW杯に胸をときめかせた世界の子供たちが、何年かして、他の国々に留学したり、あるいはビジネスの現場で、他の国々の人々とコミュニケーションを取る時に、「そういえば、アフリカで初めてW杯が行われた2010年の南アフリカ大会の時には、占いをするタコがいたね。名前は何ていったっけかな?」「ああ、いたいた。確か、パウロ、いやいや『パウル』っていう名前だった」「そうそう『パウル君』っていわれてた」……と住んでいる国は違っていても、(時計の針でいう時間ではなくて)同じ時間と空間、そして感動を共有していたことを確認する切っ掛けになるのではなかろうか、と思う。
同時代人の確認である。目の前には、困難な政治的な課題、あるいは、タフなビジネスの取引が横たわっているかもしれないが、それはそれ、これはこれとしても、「同時代人」を確認する共通な話題があるということは、まったく何もないことを考えたら、一歩、相手との間合いを詰める時に、大変重要なことであろうと思う。
世界で、人気のiPhoneなども、同時代人を確認するための共通の話題になるだろう。「こういうアプリケーションがあって、あれは面白かったなあ」とか、等々。
とはいえ、最近の日本人の大学生の傾向として、他の国に留学する機会があっても、グローバルな世界に飛び出して経験を積んでこようとする人が減っているそうだ。理由は、3年あたりで海外に行ってしまうと、就職活動をすることが出来ないから。
〈そんなものなのかなあ〉と思っていたら、最近、「交換留学で海外に留学していたが、子供が帰ってきた時には、来年の就職活動のメインの時期は終わっていた。しかたないから、留年することになる」「留学から帰ってきて、今、とにかくどこか就職できないか、夏休み返上で、就職先を探している」というような話を聞いた。
『大学3年で、勉強しながら、就職先も探す。4年になる時には、内定をもらっていなければならない。就職先がなければ留年する』というような現在の日本の新卒者の雇用環境の改善は、早期に行われなくてはならない。(高校、専門学校、短大なども同様だが)
ただでさえ減少するわが国の生産年齢人口(15歳~64歳)に新しく仲間入りする若い世代に職がなく、収入の道がないのでは、「消費」の拡大にならない。お金が回らなければ、経済は、景気は好転しない。
ネットニュースでは、10万円台の化粧品が富裕層を対象に売れており、各社が参入している、と報じている。テレビCMの効果がはっきりと現れるのは、1にカップ麺、2にスナック菓子、3に化粧品というから、テレビCMの出稿量の増加も期待できるかもしれない。
そうした富裕層を中心にした高額商品はどんどん売れて欲しい。人口や世帯比率でいえば、少ない富裕層にいろいろたくさん使ってもらえば、市場にたくさんお金が回る。
スポーツ施設などの命名権なども高額商品の一つになるだろうが、富裕層には、「良識のある範囲の命名」という条件の下に、買って欲しいものだ。極端なことをいえば、JALの飛行機の一機分くらい(300億円?)お金を使って、「良識のある範囲の広告スペース」として、活用してもらえないものだろうか。
2010年代の行き詰まった日本経済の内需拡大に貢献した事業、あるいは人物として、長くウィキペディアに掲載されたりするのではなかろうか。
その一方で、社会人に成り立ての、若い世代が、例えば100万人が1ヶ月に1万円を使うと、100億円の経済効果である。これが、2万円使えば、倍の200億円になる。100万人が1ヶ月に10万円を使えば、年間では1兆2000億円である。若い世代はいろいろな買い物をするから、いろいろなところにお金が回る。
若い世代に職がなく、収入がなければ、こうした消費も生まれてこない。あるいは減る。消費税も上がってこない。
しかも、そうした状況が何年も続くと、「消費の低迷」は長引くばかりだ。
生涯賃金3億円といわれた時代、貯蓄に回った分を除けば、その多くが様々な消費に回った。いまは、生涯賃金3億円は、(一部の人を除いて)夢の話かもしれない。
でも、消費の中心である20代から40代前半くらいまでの層が消費に使えるお金が多ければ多いほど、市場にお金が回るということになる。
その最初のスタートラインが就職であろう。若い世代の就職難問題にきちんと対処していかないと、ある意味、意気消沈の世代が生まれてしまうだろう。
そういえば、「高大接続テスト」(仮称)というものをご存知だろうか。近年、高校生・大学生の基礎学力が不足し、高大接続機能が低下しているという。
その理由としては、(1)一部の大学を除き大学入試の選抜機能が低下、(2)高校の教育課程の弾力化による未履修科目の増加、(3)受験競争の緩和や非学力入試の拡大による高校生の学習意欲の低下、という3つが挙げられるのだそうだ。
例えば、高校を卒業して、大学に入学した学生の学力不足を補うため、2月、3月に大学側で受け入れ準備として補講を行うこともあるという。そうしないと、大学の授業についていけず、中退などの道を選択する学生を増加させてしまうからだそうである。
こうした若い人材の学力不足は、国力にも企業力にも、大きな影響を及ぼすことになる。
これらの問題を解決する一つの手段として、高校と大学関係者から提案されたのが「高大接続テスト」というもので、大学入試センター試験のような選抜目的で実施されている集団準拠型の試験とは異なり、学習内容毎に評価規準を定め、その規準に対する達成度を評価する目標準拠型の達成度を測るテストが想定されている。
わが国の将来の人材の学力を担保するということである。本年秋に文部科学省に報告が行われ、将来的に導入するか、検討が行われるという。この教育の分野は、将来のわが国の国力の基礎となる重要なもので、筆者としても導入されることを期待するものである。
しかしである。そこが改善されても、現在の「就職先を見つけるのが難しく、また就職できても生計が立てられるだけの収入がなかなか得られない」という状況が変わらないのであれば、消費の促進・拡大は期待できず、国内の経済状況は、好転しない。
一般的に、人口が減っているのだから、就職はしやすいのではなかろうか、と思いがちだが、どうも現実は違う。コストダウンのために、「人手のかかるポジション」を削っているからだ。1人に労働が集中して、倒れたら、それっきり、というのが常識化しているようだ。何か、変だが。
「ある駐車場の管理人の仕事の募集1人に、50人が集まった」という話を近所で聞いた。ここで、企業側に、「競争が激しいのだから、賃金は安くても人は集まるだろう」と考えられたら困る。消費に回るお金が少なくなることを意味するからだ。みんなが、同じ考え方をしたら、全体の消費は下がるばかりだ。
日本経済を下支えしてきた消費が伸び、賃金の上昇をみないことには、庶民は、「景気の回復感」を味わうことはできないだろう。
『人口が減っている中で、就職できない人が多い。低賃金である。だから、消費の拡大は、期待できない』という循環を断ち切っていかないといけない。そこら辺、本当に、政治にしっかりしてもらいたい。そうでなければ、消費税率を上げたって、使わないベクトルが働いて、消費は冷え込むだけだろう。
しかし、そうした国民の声は、選挙の際に、無言の投票で表現するばかりでなく、もっと声を大にして、叫んでいかなければいけないのだろう。
そうでなければ、政治家の耳にも入らないし、国の役人は、「国民からの要望の声がない」と一蹴するだろう。
民主主義の国なのだから、ブブゼラのように、みんなで叫び続けて、国民が政治を動かしていかなければいけないのだろう。
そういえば、ブブゼラの音も耳から遠くなった。(い)
【目次】
◆1.「ケーブルテレビショー2010」フォトレポート②
◆2.横浜ケーブルビジョン「YCVコミュニティチャンネル」の緊急情報安全安心情報の拡充について
◆3.横浜ケーブルビジョン 「地域発信バラエティー のんビリー行こう」番組テーマソング
「ロカビリー日和」の音楽配信決定!!
◆4.JCN、「この秋、ハイビジョンチャンネルを大幅追加!」~合計30CHがハイビジョンに~
~日本初!ジャパネットスタジオ242をハイビジョンで提供開始~
◆5.JCNみなと、デジアナ変換の導入で 地デジ完全移行後もアナログテレビで視聴が可能。
2011年7月から2015年3月末日までの期間限定で実施
◆6.業界初!クロスメディアスタジオ『iTSCOM スタジオ たまプラーザ』10 月7 日オープン。
「iTSCOM スポット たまプラーザ テラス」&「プラーザホール by iTSCOM」も同時オープン
◆7.ケーブルテレビ事業に関する事業提携について
~長津田みなみ台地区(横浜市緑区)にてイッツコムサービスの提供開始~
◆8.イッツコム、9 月1 日、「iTSCOM TV」 オプションチャンネルの拡充
韓国エンターテイメント「KNテレビジョン」&「グリーンチャンネルHD」提供開始
◆9.J:COM オン デマンドの見放題パックが選べる!
新TVサービス「J:COM TV My style セレクト」7月15日より提供開始
◆10.東京デジタルネットワーク「ケーブルテレビショー2010」に初出展
業界内外から多数の来場者、アンケートでは回答者の99%がアナログ放送終了を認識
◆11.NHK放送研修センター〈ケーブルテレビ研修〉
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